BPRとBPOの違いとは?RPAとの違いや導入ステップを解説
2024.11.05|⟳ 2025.08.05|コールセンター働き方改革や収益体質改善のために、多くの企業では業務改革を継続して行っています。
しかし、一言で業務改善といっても、自社リソースで完結するのか、外部委託するのかなど選択肢はさまざまです。
これらに関連する言葉のなかには「BPR」や「BPO」といったものが含まれますが、どのような意味を持つのでしょうか。
本記事では、BPRとBPOの違いについて、業務改善から外部委託までの実践的アプローチとあわせて解説します。
BPRとは
BPR(Business Process Re-engineering)とは、既存の仕組みや習慣を見直して再構築することを指します。
長期的な観点で業務全体の仕組みや非効率な作業を見直す経営手法であり、業務の一部を見直すものではありません。
日本語では業務改革と訳されることがありますが、組織の構成など根幹を改善する観点から、具体的な意味合いは異なります。
BPOとは
BPO(Business Process Outsourcing)とは、自社で担っている業務を外注することを指します。
既存業務の一部または全部を外注することで自社の負担を軽減し、業務改善を図ります。
外注する業務の種類は多岐にわたり、見込み顧客の育成や総務部門の業務全体などが含まれます。
BPOのメリットについては、こちらの記事で詳しくご説明しています。
BPRとBPOの違い
上記の通り、BPRとBPOは言葉こそ似ているものの、意味合いは大きく異なるものであることがお分かりいただけたと思います。
BPRは企業の経営・運営に関わる根幹部分を見直すものに対して、BPOは業務の一部または全部を外注することです。
そのため、BPOはBPRに含まれる施策の一部といえます。
「○○を外注すれば、経営が改善する」という判断のもと、BPOを実施しているのです。
RPAとは
RPA(Robotic Process Automation)とは、これまで人が行っていた定型的なパソコン業務を、ソフトウェアロボットが代行する自動化技術のことを指します。
ルールベースで繰り返し発生する業務、たとえばデータ入力・集計・メール送信などに適しており、作業精度の向上と作業時間の削減が可能になります。
特に、人的リソースが限られている企業や、慢性的な人手不足に悩む企業にとって、RPAは業務改善の有力なソリューションとされています。
近年では、BPRやBPOと組み合わせて導入されるケースも増えており、業務改善全体の中でRPAをどのように活用するかが問われるようになってきました。
以下では、RPAとBPR・BPOとの違いについて整理します。
BPR・BPOとRPAとの違い
RPAは「既存の業務をそのまま自動化」するのに対し、BPRは「業務そのものの構造改革」、BPOは「業務の外部委託」が主な特徴です。
つまり、RPAは現行業務に変化を加えず、特定の作業を効率化する技術であり、BPRやBPOは業務の在り方そのものを見直すアプローチといえます。
これらは対立する概念ではなく、目的や課題に応じて組み合わせることでより大きな成果が期待できます。
BPOとRPAとの違い
BPOは業務の一部または全部を外部業者に委託する仕組みです。
たとえば、コールセンターやバックオフィス業務を専門会社に委ねることで、自社のリソースを戦略的業務に集中できます。
一方、RPAは業務を外部に出すのではなく、社内で自動処理を実行するという点が大きな違いです。
コスト削減や業務スピードの観点から、BPO業者がRPAを組み込んだ運用を行うケースも増えています。
BPRとRPAとの違い
BPRは業務の再設計や根本的な改革を目的とするアプローチで、業務フローや組織体制そのものを見直すことがあります。
一方、RPAは既存の業務手順を前提に、その処理を自動化する手段であり、大規模な改革を伴うものではありません。
ただし、BPRの一部としてRPAを組み込むことで、再設計されたプロセスの一部を効率的に実行することが可能です。
このように、RPAはBPRやBPOの補完的役割としても有効活用できます。
BPRのメリットと解決できる課題
BPRを実施することで、下記のメリットと課題の解決が期待できます。
- 人材配置の最適化
- 業務プロセスの見直し、生産性の向上
- 意思決定の高速化
- 労働環境の改善
- サービス品質の向上
- リスクマネジメントの強化 など
BPR導入のステップ
上記メリットと課題解決を目的としてBPRを実践するには、下記の流れで進行します。
- 社員に改善点をヒアリングし、目的や目標を設定する
- 優先順位を決定する
- 現状の業務を洗い出し、分析したうえで課題を把握する
- 戦略や方針を策定する
- ビジネスプロセスとスケジュールを設計する
- 実行後、計画の進捗状況を把握する
- 成果を確認し、継続した改善を図る
BPOのメリットと解決できる課題
BPOを実践することで、下記のようなメリットと課題解決が期待できます。
- コア業務に集中できる
- 業務品質の向上
- 業務の効率化
- 教育コストの削減・最適化
BPO導入のステップ
BPOを実施している企業は、下記のような業務をアウトソーシングしています。
- 総務や人事、経理、受付などのバックオフィス業務
- コールセンター、コンタクトセンター
- IT関連業務
- コンサルティング業務
- マーケティング など
選定ポイントのひとつとして、依頼を検討している業務がその企業のコア業務なのかどうかが挙げられます。
ノンコア業務をアウトソーシングすることで、企業はコア業務に集中できます。
これらを判断するために、BPRの段階で業務の洗い出しを行うのです。
そのため、BPOを行う際には原則としてBPRの実施が望ましいといえます。
参考ページ:当社コラム「コールセンターBPOとは?アウトソーシングとの違いもまとめて解説」
参考ページ:当社コラム「コールセンターアウトソーシング費用と料金相場」
RPAのメリットと解決できる課題
RPAは、定型的で繰り返しの多い業務を自動化し、作業時間と人為的ミスの削減を可能にします。
人手不足の解消や業務の標準化にも寄与し、生産性向上に貢献します。
RPA導入のステップ
RPAを導入・運用する際には、下記のステップで進行します。
- 自動化に適した業務を選定
- 業務フローを可視化・整理
- RPAツールを選定
- ロボットを設計・構築
- テスト後に本番運用を開始
BPOサービスを提供している業者の選び方
BPOを成功させるには、信頼できる委託先の選定が重要です。
以下にて、確認すべきポイントを整理します。
対応業務や事例の確認
自社の委託したい業務に対応しているかを確認しましょう。
同業種での実績や、具体的な成功事例が公開されていれば、安心材料となります。
品質管理とセキュリティ体制
業務品質の維持には、標準化されたプロセスと管理体制が不可欠です。
情報保護の観点から、ISO27001認証の取得状況も必ず確認しましょう。
運用支援体制
導入後の運用支援や改善提案が受けられる体制も大切です。
定例レポートや窓口対応など、伴走型の支援体制が整っているかを確認してください。
BPO・BPR・RPAはどれから始めるべき?
自社の課題や業務内容に応じて選択すべきアプローチは異なります。
業務の抜本的な見直しが必要であればBPR、外部委託による負荷軽減が目的ならBPO、定型作業の自動化にはRPAが適しています。
いずれも、業務可視化からの着手が効果的です。
おわりに
本記事では、BPR・BPO・RPAの違いや導入ステップについて解説しました。
業務改善の手段は、自社の課題や体制に応じて最適なものを選ぶことが重要です。
抜本的な改革にはBPR、業務負荷の軽減にはBPO、定型作業の効率化にはRPAが有効です。
目的に応じてこれらを組み合わせ、持続可能な業務体制の構築を目指しましょう。


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