コールセンターのBPOとは?業務内容やメリット・デメリットを解説
2023.09.02BPO
コールセンターはお客様からのお問い合わせやクレームなどを聞き、最適な対応が求められる会社の顔とも呼べるポジションです。
営業員の電話対応の頻度を減らすことによって、企業全体で業務効率化を図ることができます。
しかし、コールセンターを導入する際は機器代や人件費など、さまざまなコストが発生します。
そのため、多くの企業はコールセンターの業務を外注する傾向にあります。
本記事では、コールセンターにおける「BPO」とは何かについて、アウトソーシングとの違いとあわせて解説します。
BPOとは?
BPO(Business Process Outsourcing)とは、ひとつの作業だけではなく、関連するさまざまな業務を外注することを指します。
一般的に、アウトソーシングをする際はひとつの作業を業者に依頼されることでしょう。
たとえば、印刷業者の場合は冊子の印刷、製造業なら製品の製造などが挙げられます。
BPOの場合、デザインやお客様への納品など、メインとなる仕事の前後にある作業ごと外注することを指します。
コールセンターのBPOとは?
一般的なコールセンターでは、下記のような業務を行います。
- 見込み顧客のデータを収集する
- 見込み顧客に商品やサービスの説明に関する架電を行う
- 見込み顧客と契約を締結する
- 契約したお客様にフォローの架電を行う
- 必要に応じてパンフレットを送付する
多くの企業は自社で見込み顧客のデータを収集し、そのデータを外注業者に渡して電話業務のみを依頼します。
しかし、コールセンターの業務には架電だけではなく、先述の通りさまざまな業務が含まれています。
そのため、架電業務だけアウトソーシングをしても、業務効率が改善できなかったという企業が多くあります。
BPOを行うことによって、架電から契約締結、アフターフォローといったさまざまな業務を外注することができます。
営業員は契約を締結したお客様の対応を行ったり、ほかの業務に集中したりすることが可能となります。
また、特定の作業のみを依頼するよりも、まとめてさまざまな作業を依頼したほうが管理しやすいメリットがあります。
そのため、近年ではBPOでコールセンターの業務を外注する企業が増加傾向です。
BPOとアウトソーシングの違い
下記は、BPOとアウトソーシングの違いをまとめたものです。
項目 | BPO | アウトソーシング |
範囲 | 業務全体の外部委託 | 特定の業務の外部委託 |
目的 | コア業務への集中、効率化、コスト削減 | 人件費削減、専門知識の活用 |
例 | コールセンター業務全般、バックオフィス業務 | ITサポート、清掃、物流 |
BPOとアウトソーシングの違いは、外注する業務が単体なのか一連の流れなのかが挙げられます。
一般的なアウトソーシングは、サービス案内や新規契約の架電といった、単体の作業のみを依頼します。
一方、BPOはこれらの作業に関連する、リストの収集や契約締結といった作業も含まれています。
複数の業務を外注することによって社員の業務を軽減できるため、業務効率の改善に貢献してくれることでしょう。
このように、BPOはアウトソーシングよりも充実したサービスを提供していることがお判りいただけたと思います。
単一の業務の場合、業務改善の効果が薄いことから、近年のコールセンターの外注業者はBPOを採用する傾向にあります。
コールセンターのBPO化で依頼できる業務内容
こちらでは、コールセンターのBPO化で依頼できる業務内容をご紹介します。
お客様からの問い合わせ対応
コールセンターBPOの基本業務のひとつが、製品やサービスに関する質問、トラブルシューティング、返品・交換手続き、使用方法の案内などを含む顧客からの問い合わせ対応です。
たとえば、家電メーカーであれば、製品の動作に関する質問や修理に関する相談が頻繁に発生します。
このような問い合わせに対し、専門的な知識と迅速な対応が顧客満足度を左右するため、BPOにおいてはトレーニングが重要です。
注文から受注・発送までの業務
ECサイトや通販業界で特に重要なのが、注文から受注、在庫管理、発送手続きまでの一連の業務です。
顧客が購入を決定した後のスムーズな処理は、リピート購入の増加に大きく影響します。
具体的には、注文内容の確認、支払い処理、配送手配、在庫管理などが含まれています。
上記により、顧客満足度を向上させると同時に、運営コストの削減も実現できます。
架電後のサービス手配
架電業務は、新規顧客へのフォローアップや既存顧客への再購買促進において重要な役割を果たします。
たとえば、保険会社であれば、契約更新の確認や追加保障の提案、不動産業界であれば、内見予約のリマインドなどがあります。
こうした業務は顧客との接点を増やし、LTV(ライフタイムバリュー)の最大化に貢献します。
長期にわたって自社商品・サービスを購入してもらうことで、企業は安定収入の獲得を継続できます。
営業電話
営業活動は新規顧客の開拓や既存顧客へのアップセル・クロスセルなど、売上向上を目指すための重要な業務です。
この業務のなかには、顧客リストの作成、電話スクリプトの準備、成約率の分析などが含まれます。
また、営業活動の効率化を図るためにCRMシステムやMAツールと連携させることも一般的です。
これにより、顧客の購買意欲を適切に把握し、効率的な営業活動が可能となります。
マーケティング調査
マーケティング調査は、顧客のニーズや市場動向を把握するために欠かせない業務です。
具体的には、電話アンケート、メール調査、オンラインフォームの集計などが含まれます。
これにより、製品改善や新サービスの立案、マーケティング戦略の見直しに役立つデータが収集できます。
近年では、SNSやチャットツールを活用したリアルタイムの調査も増えており、効率的に管理するための専門知識が求められます。
コールセンターをBPOするメリット
こちらでは、コールセンターをBPOすることで得られるメリットをご紹介します。
品質を向上できる
コールセンターBPOを活用することで、対応品質の向上が期待できます。
BPO事業者は専門のトレーニングを受けたオペレーターや、最新のシステムを導入しているため、迅速かつ正確な対応が可能です。
また、顧客の声を収集・分析し、そのデータをもとにサービス改善に取り組むことで、顧客満足度の向上にもつながります。
さらに、専任の品質管理チームが対応品質を定期的にチェックするため、ミスの発生を抑え、顧客満足度を高めることができます。
このように、BPOの導入により、専門的な顧客対応を実現しやすくなります。
コスト削減ができる
BPOを導入する最大のメリットとして、コスト削減が挙げられます。
自社でコールセンターを運営する場合、設備投資やシステム維持費、人件費などの固定費が大きな負担となります。
一方で、BPOを活用することで、これらのコストを変動費として扱うことができ、効率的なコスト管理が可能です。
また、オペレーターの教育や研修、管理コストも外部に委託することで削減できます。
24時間対応や多言語対応といった要件にも柔軟に対応できるため、国際展開を視野に入れた企業にとっても大きなメリットです。
業務の効率化を図れる
専門のBPO事業者は、最新のCRM(顧客管理システム)やAIを活用し、顧客対応の迅速化を実現しています。
たとえば、AIチャットボットや音声認識システムを導入することで、よくある質問への即時回答や自動応答が可能となります。
さらに、業務プロセスの標準化や自動化により、ヒューマンエラーの削減や対応スピードの向上が期待できます。
これにより、顧客対応の品質向上と同時に、オペレーターの負担軽減やコスト削減も実現できるのがBPOの強みです。
コールセンターをBPOするデメリット
一方、コールセンターをBPOすることによって、下記のようなデメリットが発生する点には注意が必要です。
人材育成ができない
BPOを導入する際の大きな課題の一つが、人材育成の難しさです。
自社でオペレーターを育成する場合、製品やサービスに関する深い知識や企業文化を直接伝えることができます。
しかし、BPOの場合は外部にこれらの教育を任せるため、顧客からの問い合わせへの対応力が低下するリスクがあります。
この問題を解決するためには、定期的なトレーニングや情報共有の場を設けることが重要です。
アウトソーシングより費用が高い
BPOは一般的なアウトソーシングに比べて、コストが高くなる場合があります。
たとえば、専門知識が求められる業務や高い品質が求められる対応には、それに見合ったコストが発生します。
BPO事業者は専任の管理者やトレーニングスタッフを配置することが多く、その分の費用が反映されます。
そのため、BPO導入の際には、コストと効果を慎重に比較検討することが重要です。
情報漏洩のリスクがある
BPOでは、顧客情報や機密データが外部に委託されるため、情報漏洩のリスクが常につきまといます。
特に、金融機関や医療機関など、機密性の高いデータを扱う企業にとっては、このリスクが大きな課題となります。
また、データの取り扱いが不適切であった場合、法的なトラブルやブランドイメージの低下にもつながりかねません。
そのため、BPO事業者を選定する際には、十分なセキュリティ対策や、データ保護のための取り組みを確認することが重要です。
コールセンターをBPOする際のポイント
コールセンターをBPOする際には、下記のポイントに注意しましょう。
対応可能な業務範囲
BPOを導入する際は、業者・自社が対応可能な業務範囲を明確にすることが重要です。
すべての業務を外部に委託するのではなく、自社で対応するべき業務と外部に任せるべき業務を慎重に選定する必要があります。
下記は、自社対応と外注の線引きの一例です。
- 自社対応:顧客からの緊急対応、専門知識が必要な業務 など
- BPOに委託:一般的な問い合わせ、サポート業務 など
これにより、BPO事業者との適切な連携が可能となり、顧客満足度の維持が期待できます。
オペレーターの対応品質
顧客との直接の接点となるオペレーターのスキルや経験は、顧客満足度に大きく影響します。
そのため、BPO事業者を選定する際には、トレーニング体制や品質管理の仕組みが整っているかを確認することが不可欠です。
また、顧客対応の品質を定期的に評価し、必要に応じてフィードバックや改善を行うことも重要です。
セキュリティ対策
顧客情報や取引データが外部に委託されるため、セキュリティ対策が十分に整備されているBPO事業者を選ばなければなりません。
具体的には、暗号化、アクセス制限、監視システムの導入が必要です。
さらに、定期的なセキュリティ監査やスタッフへの教育も重要な要素になります。
おわりに
本記事では、コールセンターのBPOについてご説明しました。
BPOは架電業務に関するさまざまな業務を外注することを指すもので、アウトソーシングよりも多くの業務を依頼できます。
お客様からの問い合わせ対応や注文から受注・発送までの業務、架電後のサービス手配
営業電話、マーケティング調査といった、さまざまな業務を依頼できます。
しかし、費用対効果やサービス品質向上のためには、自社とBPO業者に依頼する業務を明確にすることが重要です。
忙しい、でもサービスの品質を落としたくないというときは、BPO業者に相談してみてはいかがでしょうか。


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