BPOと業務委託の違いは?メリットや導入時の成功ポイントを解説

2025.08.04|BPO

BPOと業務委託の違い

業務の効率化や働き方改革への対応を背景に、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)を導入する企業が増加しています。

一方で、「業務委託(アウトソーシング)」との違いが曖昧なまま導入を進めてしまうケースもあります。

両者の違いや活用方法を正しく理解することで、自社に最適な業務体制を構築することが可能です。

本記事では、BPOと業務委託の違い、メリット・デメリット、導入の成功ポイントについて解説します。

 

BPOとは?

BPO(Business Process Outsourcing)とは、企業の業務プロセスの一部または全体を、外部の専門業者に包括的に委託する仕組みです。

単なる作業外注ではなく、業務設計から実行、改善までを一括で委ねる点が特徴です。

業務の効率化やコスト削減、人材不足への対応などを目的として、近年多くの企業で導入が進んでいます。

特に、非中核業務にかかる社内負担を軽減し、経営資源をコア業務に集中させる手段として注目されています。

 

BPOとアウトソーシング(業務委託)の違いについて

BPOと業務委託は混同されがちですが、委託範囲と目的に明確な違いがあります。

アウトソーシング(業務委託)は、単一業務や作業単位の外注が中心であり、短期的・部分的な対応が目的です。

一方、BPOは業務プロセス全体を見直し、継続的に運用・改善を行うことが前提です。

そのため、戦略的視点で業務改革を推進する手法として、BPOはより高度なアウトソーシングといえます。

 

BPOの市場規模

BPOの市場規模

BPO市場は少子高齢化や人材不足といった構造的課題、そして業務のデジタル化が進展する中で、効率的な業務運営を実現する手段として増加傾向にあります。

特に、バックオフィス業務やIT関連業務など、定型処理を中心とした領域でニーズが高まっています。

さらに、コスト削減や品質安定化を目的として、業種や企業規模を問わず導入が進んでいます。

今後も企業の働き方改革やDXの推進に伴い、BPO市場は一層拡大することが見込まれます。

 

BPOのメリット

BPOの導入は、企業が直面するさまざまな経営課題を解決する有効な手段です。

こちらでは、BPOのメリットをご紹介します。

 

コストを削減できる

BPOの活用により、従来社内で賄っていた人件費・採用費・教育費・設備費などの固定費を、変動費へと転換できます。

業務量に応じた柔軟な体制構築が可能となり、無駄なコストを抑えることができます。

また、業者によるスケールメリットを享受することで、1件あたりの処理単価を下げることも可能です。

 

コア業務へ集中できる

定型的・付帯的業務を外部へ委託することで、社内のリソースを中核となる業務に集中させることができます。

営業・商品開発・企画部門など、企業の競争力に直結する領域への注力が可能となり、経営資源の最適配分が実現します。

 

業務の標準化・品質向上を図れる

BPO事業者は、業務フローの設計から運用・管理までを体系的に行うため、業務の高水準での標準化が進みます。

マニュアルやチェック体制が整備されており、属人化のリスクを低減しながら、均一な品質を維持できます。

品質指標(KPI)に基づいた運用も期待できるため、継続的な改善も促されます。

 

最新テクノロジー・ノウハウを活用できる

RPAやAI、クラウドなどの最新技術を用いた業務設計を提供するBPO業者も多く、自社にないノウハウを導入できます。

IT環境の変化に迅速に対応できる柔軟性は、社内単独での運用では得にくい大きな価値といえます。

これにより、業務効率と競争力の向上が図れます。

 

人的リソースの有効活用ができる

社内の人材を煩雑なルーティン業務から解放し、高付加価値業務やクリエイティブな業務へと再配置することができます。

人材不足が深刻化する中で、既存人材の活用効率を最大化するBPOの導入は、人的資源戦略において重要な選択肢です。

 

BPOのデメリット

BPOのデメリット

 

BPOには多くの利点がある一方で、運用には注意すべきリスクも存在します。

導入前にこれらのデメリットを把握し、適切な対策を講じることが重要です。

 

ノウハウが社内に蓄積されない

BPOにより業務を外部へ委託すると、実務の詳細な手順や判断基準が社内に蓄積されにくくなります。

これにより、業務改善のノウハウや担当者のスキルが自社に残らず、将来的な内製化が困難になる恐れがあります。

教育や引き継ぎの機会も減少するため、情報共有体制の整備が求められます。

 

情報漏えいなどのセキュリティリスクがある

個人情報や機密情報を扱う業務を外部委託する場合、情報漏えいなどのリスクが高まります。

業者のセキュリティ管理体制が不十分であると、企業の信頼性を損なう結果にもつながります。

そのため、契約書や体制面での明確な取り決めが不可欠です。

 

自社運用に戻すのが難しくなる

長期間にわたりBPOに依存した場合、業務の設計・運用ノウハウが社内に存在しない状態になります。

その結果、委託先の変更や自社回帰を検討する際に、大きな負荷やリスクが伴います。

継続的なモニタリングと、部分的な内製維持が重要になります。

 

BPOの対象となる業務領域

BPOの対象となる業務領域

BPOは定型業務から高度な専門業務まで幅広く対応できるため、さまざまな部門で活用されています。

以下に代表的な3つの業務領域を紹介します。

 

総務・経理部門

代表的なバックオフィス業務として総務・経理が挙げられ、こちらはBPOの対象領域になります。

請求書処理、経費精算、勤怠管理、備品管理など、定型性の高い業務を効率的に外部化することで、社内負担を大きく軽減できます。

法令順守や内部統制も含めた運用設計が求められるため、信頼できる委託先の選定が重要です。

 

人事部門

採用・入社手続き・給与計算・社会保険対応など、人事関連業務もBPOの適用範囲です。

業務の繁閑差が大きく、毎月の処理内容が明確なため、外部業者による標準化・効率化が進みやすい領域です。

人材戦略を担う部門として、内部は企画に集中し、運用は外部に任せる体制が有効です。

 

マーケティング部門

広告運用・データ入力・分析・レポート作成など、マーケティング業務の一部もBPOの対象となります。

特にSNS運用やコンテンツ作成などは外部の専門性が活かされやすく、効果測定の仕組みも整備しやすい分野です。

また、Web開発やシステム開発業務を含めたデジタル施策の一部も委託されるケースがあります。

近年では、経営支援や調査業務などのコンサルタント業務もBPOの対象に含まれるなど、対象領域は拡大傾向にあります。

 

BPOの契約形態

BPO契約は、業務内容や責任範囲に応じて以下の形態に分類されます。

  • 請負契約:成果物に対する責任が明確で、納期や品質基準が定められます。
  • 準委任契約:業務遂行そのものを委託し、時間単位などで報酬が発生します。
  • 委任契約:業務や交渉など専門的業務で用いられ、業務結果には責任を負いません。

 

これらの契約形態を念頭に置いておき、目的に応じた契約形態の選定が重要です。

 

BPO導入時の成功ポイント

BPO導入時の成功ポイント

BPOの効果を最大限に引き出すには、導入前の準備と業者選定が鍵となります。

以下に、成功のための3つのポイントを紹介します。

 

BPO活用の目的とゴールを明確にしておく

業務改善・コスト削減・品質向上など、委託の目的を明確にし、評価指標(KPI)も設定しておくことが重要です。

曖昧なまま導入すると成果が見える化されず、効果検証が困難になります。

経営層と現場の両方で合意形成を図り、導入後の方向性を共有しておきましょう。

 

対象業務と範囲を事前に整理しておく

どの業務をどの範囲で委託するかを具体的に決めておくことで、役割の重複や責任の所在不明といった問題を防げます。

また、関係者間の認識相違を防いだり、理解を深めたりするために業務フローの可視化も有効です。

例外対応の扱いや、委託先とのインターフェース(連携方法)についても明文化しておくことが重要です。

 

BPO業者の選定と体制チェックを徹底する

対応実績、品質管理体制、セキュリティ対策、サポート体制などを総合的に確認しましょう。

複数業者の比較検討により、信頼できるパートナーを選ぶことができます。

加えて、導入後のレビュー体制や改善提案の頻度など、運用後の支援体制も事前に確認しておくと安心です。

 

おわりに

本記事では、BPOと業務委託の違いをはじめ、市場規模やメリット・デメリット、導入時の成功ポイントまでを解説しました。

業務効率化や人材不足への対応に向けて、目的に応じた適切な委託戦略が求められます。

今後はBPOを部分的に導入しながら、段階的に拡張していくアプローチも有効になると考えられます。

まずは現状を把握し、改善のためには何をすればよいかを考えるところから始めましょう。

継続的な評価と改善を前提に、戦略的に活用することが重要です。

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タグ : BPO 業務委託
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