コールセンターでのビジュアルIVRのメリット、導入の前に検討すべきこと

近年のコールセンターはサービス品質向上のために、IVRと呼ばれるシステムを導入しているところが増えています。今回はIVRとはどんなものなのか、期待されているメリットや導入時のポイントなどを見ていきます。

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ビジュアルIVRとは

IVRとは「Interactive Voice Response」の略称で、日本語では一般的に「自動音声案内」と訳されます。これは顧客がコールセンターに電話をかけた際、録音済みの音声をガイダンスとしてプッシュ操作を行ってもらい、目的ごとの窓口や対応に案内する仕組みです。IVRはコールセンター業務を効率化させるための有効な施策として、多くの企業で導入されています。そして、ビジュアルIVRは従来のIVRシステムに視覚的要素を加え、利便性の向上を実現したものです。ビジュアルIVRでは、音声案内の内容をWebページやアプリケーションを通じて顧客に視認してもらいます。顧客に任意の項目を選んでもらい、ページを進めていく事で疑問や問題を解決するためのカスタマーサポート用コンテンツに誘導していくシステムです。

ビジュアルIVRのアクセス方式

ビジュアルIVRにはいくつかのアクセスパターンが用意されており、業務内容や既存システムに合わせて最適なものを選ぶ事が出来ます。アクセスパターンは大きく次の3つに分類されますので、覚えておきましょう。

ビジュアルIVRのURLをSMSで送信する

ビジュアルIVRは顧客からの着信をきっかけとして、顧客のスマホやケータイにSMSでカスタマーサポートサイトのURLを送付する事が出来ます。この場合は従来のIVRシステムを活用して、まずは電話口で通常のIVRでの案内かビジュアルIVRによる案内かを顧客に選んでもらうのが一般的です。現在リリースされているビジュアルIVRの多くはこのパターンが採用されており、既にIVRシステムを導入済みのコールセンターへの導入が比較的手軽である事からも人気を博しています。

電話番号表示をビジュアルIVRの起動ボタンにする

現時点で自社のWebサイト上に問い合わせ窓口の電話番号を掲載しているという企業も多いでしょう。ビジュアルIVRは、この電話番号の代わりとしてサイト上にボタンを埋め込むという方法も一般的です。ボタンのリンク先を細かく指定出来るビジュアルIVRも多く、顧客が興味関心を持って閲覧しているページから効率的にカスタマーサポート用コンテンツに誘導する事が出来ます。

専用アプリに表示するタイプ

ビジュアルIVRは、企業が独自に専用アプリを用意しているというケースも珍しくありません。顧客にアプリをダウンロードしてもらう必要がありますが、迅速かつきめ細かい対応が可能であるという点が大きな魅力です。また、専用アプリはキャンペーン情報の配信や顧客に関するデータ収集にも役立ちます。顧客ロイヤルティの向上や今後のマーケティング方針の策定など、使いこなせれば戦略的な活用方法も視野に入るでしょう。

ビジュアルIVRの導入メリット

ビジュアルIVRの導入は多くのコールセンターで進められており、今後もその流れは継続していくと予想されます。ビジュアルIVRが持つ多くのメリットは、コールセンター業務の質をさらに高めてくれる事が期待されています。ここでは、ビジュアルIVRを導入するメリットについて詳しく掘り下げていきます。

“見える化”による利便性向上

ビジュアルIVRは、顧客が抱える疑問や問い合わせを解決するための案内を視覚化する事により、顧客側の利便性を高められるという点が大きなメリットです。従来のIVRでは、顧客が音声案内を聞き終わってからプッシュ操作を行うのが基本となっています。一方、ビジュアルIVRでは顧客がパッと見で必要としている内容を判別出来るため、シームレスに問い合わせを進めていく事が可能です。顧客が電話口で待たされるストレスが軽減されますので、顧客満足度の向上にも繋がります。また、電話でオペレータに直接問い合わせるというアクションは、顧客にとってハードルが高くなるケースも少なくありません、電話が苦手な顧客が気軽に問い合わせる事が出来るという意味でも、ビジュアルIVRは利便性が高いツールであると言えるでしょう。

機会損失を解消

電話窓口での問い合わせ対応は回線やオペレーターの数によって対応件数に限界があるため、同時接続が一定の件数を超える場合は即時対応が困難になります。対応策としては「後ほどおかけ直しください」といったように時間を置いてもらうあふれ呼、「オペレータが対応するまでしばらくお待ちください」のように電話をかけたまま待機してもらう待ち呼などが一般的です。ビジュアルIVRは電話窓口以外でもWebサイトや専用アプリからアクセス可能であるため、こうした機会損失を未然に防ぐ事が出来ます。オペレータからの折り返し電話を予約出来るコールバック予約機能を備えた製品もありますので、口頭でのコミュニケーションを望む顧客のニーズにも柔軟に対応可能です。顧客接点の強化という意味でも、コールセンターの機会損失防止は重要な意味を持ちます。

入電数の削減

顧客からの問い合わせ内容は、そのすべてがオペレータ対応を必要とするものではありません。例えば、自社サイトのFAQやよくある質問を見てもらえれば、顧客が自身で解決出来るものも少なくありません。ビジュアルIVRは顧客が抱えている疑問について、自己解決を促す事に長けているシステムです。オペレータ対応が必要になる内容だけを電話窓口に集中させる事が出来ますので、ビジュアルIVRは顧客からの問い合わせ数を減らす事なく効率的かつ適切な対応を実現してくれます。

通信・人件費の最適化

ビジュアルIVRによる入電数の絞り込み効果は、コールセンター側の通信費や人件費を最適化させる効果も期待出来ます。それ自体は業務を委託する企業として直接的なメリットに感じにくいかもしれません。しかし、コスト運用を適切に行っているコールセンターでは、サービス品質向上や人材教育に注力しているところが多い傾向にあります。信頼出来る委託先選びのポイントの1つとして、ビジュアルIVR導入の有無は有効な指標になり得るでしょう。

オペレータ負荷の軽減

前述のように、ビジュアルIVRはオペレータ対応が必要な問い合わせを絞り込む事が出来るため、オペレータへの負荷を軽減させる効果も期待できます。また、ビジュアルIVRの誘導によって、FAQやよくある質問で解決出来ると見込まれる問い合わせ内容については、基本的にオペレータへの教育や研修が必要なくなるという点もポイントです。オペレータ負荷の軽減は、ケアレスミスの防止という観点でも重要な要素となります。

24時間対応をサポート

自社が取り扱っている商材や顧客の業態によっては、深夜や早朝でも顧客からの問い合わせが想定されるというケースも珍しくありません。そういった場合でも、ビジュアルIVRが顧客対応の24時間化をサポートしてくれます。ビジュアルIVRではオペレータへの引継ぎも可能となっていますが、基本的には顧客の自己解決を促す事が目的です。FAQやよくある質問への誘導だけであればオペレータ対応を必要としないため、コールセンターの営業時間外でも顧客対応が可能となります。ライフスタイルや働き方の多様化が進んでいる現代社会では、24時間対応サービスの需要が高まっています。ビジュアルIVRは顧客が都合の良いタイミングですぐ疑問を解決する事が出来るという点でも、顧客満足度向上が期待出来ます。

ビジュアルIVRでの生産性と顧客体験を向上

ビジュアルIVRによるメリットについて理解が深まっても、イマイチ具体的なイメージが湧かないという人も少なくないでしょう。ここからは、ビジュアルIVRのどのような機能によってコールセンターの生産性や顧客体験が向上するのかをご紹介します。

AIチャットボット機能

ビジュアルIVRの多くには、顧客が入力したキーワードに合わせて自動的に適切な返答を行うAIチャットボットが搭載されています。一般的に、AIチャットボットは企業の商材や業態に合わせて会話シナリオをカスタマイズ可能です。そのため、業界を問わず様々な大手企業でも積極的に導入されているシステムとなっています。また、AIは機械学習という和訳の通り、対応事例を重ねるごとに最適な対応を学習して精度を向上させていくという点が大きな特徴です。比較的質問内容がパターン化されている問い合わせ業務はAIが学習する場に適しているため、ビジュアルIVRの運用を続けていけばAIチャットボットの質を高めていく事も期待出来ます。実際にAIチャットボットの運用を開始する前には、コールセンター側で事前チューニングが施されますので安心です。

WebでのFAQへの誘導

ビジュアルIVRに寄せられた顧客からの問い合わせの多くは、該当するFAQやよくある質問の回答ページに誘導されます。既に自社のWebサイト上でこれらのページが用意している場合は、ビジュアルIVRの導入もスムーズに進むと言って良いでしょう。企業側のFAQやよくある質問で顧客の疑問をスッキリ解決させる事が出来れば、顧客体験が向上して企業への愛着度も高まります。ビジュアルIVRの導入に際してFAQやよくある質問の内容を微調整する必要がある、あるいは十分に回答ページが揃っていない場合はコールセンター側でチェック・構築を行っている場合もありますので問い合わせてみましょう。

CRMシステムと連携

顧客からの問い合わせ対応窓口は電話以外にも、メール・Webサイト・SNSなど多様化が進んでいます。こうした様々なチャネルから流入してくる顧客情報や進捗状況を一元的に管理するのがCRM(Customer Relationship Management)、日本語で言うところの「顧客関係管理」です。CRMで共有された情報は特にオペレータ同士の引継ぎで重要な役割を果たし、担当者が代わってもスムーズな対応が可能となります。ビジュアルIVRからの問い合わせもCRMと連携させる事が可能であるため、より一層効率的な顧客管理が実現するでしょう。既にCRMを導入済みの企業はもちろんの事、ビジュアルIVRの導入をきっかけにCRMを導入するというのもおすすめです。

オペレータへの連携

FAQやよくある質問で解決出来ない内容については、ビジュアルIVRからオペレータ対応に切り替える事になります。ビジュアルIVRは対応の切り替え時点までに入力された情報をオペレータに引き継ぐため、オペレータは直接顧客とコミュニケーションを始める前に最適な回答や必要な情報を整理することができます。この機能によって問い合わせ1件あたりの解決スピードが高まり、顧客満足度向上や1日あたりの処理件数増加にも繋がります。

ビジュアルIVRを導入時に検討すべきこと

ビジュアルIVRは現在多くのコールセンターで導入が進んでいますが、企業側がツールを採用するにあたってはいくつか検討しておきたい判断材料があります。ビジュアルIVRの効果を最大限に引き出すためにも、システム導入前には次の点について社内で検討しておきましょう。

現状の課題を把握

ビジュアルIVRの導入を検討する際には、まず自社が現状で抱えている課題を正確に把握するように努めましょう。例えば、「問い合わせ件数に対してオペレータ対応が追いついていない」という場合には、その理由まで考察しておく事が大切です。この場合はFAQやよくある質問の回答は充実しているか、自社サイトの周知は十分か、サイト内でFAQやよくある質問ページにアクセスしやすいかどうかなどがポイントとなります。自社の顧客対応業務における課題点を明確にして、ビジュアルIVRの導入が有効であるかどうかを検討してみましょう。自社だけで判断が難しい場合は、コールセンターに直接相談してみるのも1つの手段です。

お問い合わせ内容の抽出

ビジュアルIVRは、視覚的ガイダンスによる利便性の向上が大きな特徴です。そのため、自社への問い合わせに視覚化出来る内容がどれくらい含まれているかを抽出してみましょう。説明が難しい複雑な問い合わせや回答までの工数が多くなる質問については、オペレータによる有人対応が必要になります。ビジュアルIVRでの視覚化に向いているのは、商品の詳細情報・配送に関する質問・決済方法など基礎的な項目が多いです。ビジュアルIVRの効果を引き出すためには、このように問い合わせ内容に合わせた運用が重要になります。

ビジュアルIVRの画面構成

顧客側の利便性を考える上で重要なポイントとなるのが、ビジュアルIVRの画面構成です。メニュー項目やカテゴリー分けは細分化させ過ぎず、顧客が一目で認識しやすい範囲に留めておきましょう。UIが階層構造になる事を踏まえて、問い合わせ内容の具体性に合わせたグループ分けを心がけます。ビジュアルIVR内で対応出来る問い合わせ内容を広げたい場合には、キーワード入力欄を設けておくのが良いでしょう。また、ビジュアルIVRの画面構成はそれぞれの項目から移動するリンク先についても熟慮しておく事が大切です。場合によっては自社サイトではなく、ビジュアルIVR内の別ページに移動する事で顧客の疑問を効率的に解決させられるケースもあります。このあたりの詳しいデザインについても、委託先のコールセンターに相談してみるのが良いでしょう。

ビジュアルIVRを上手く活用して顧客接点を強化しよう

企業が顧客の声を直接汲み取れる機会は貴重であり、コールセンターはその意味で重要な役割を担っています。ビジュアルIVRはコールセンター側にも顧客側にもメリットが大きいシステムですので、導入済みのコールセンターへの委託を検討してみましょう。初めてコールセンターを委託する場合、業者選びに迷ってしまうというケースも珍しくありません。そういった場合には、業界30年以上の歴史を誇る日本テレネットのBPOサービスがおすすめです。日本テレネットはクライアントが抱える課題や要望に対する柔軟な対応力に定評があり、カスタマイズ性に優れたBPOサービスは多くの企業で導入されています。導入・運用・保守などフェーズごとのサポートも充実していますので、まずは日本テレネットに不安や悩みを相談してみましょう。

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