コールセンター業務の仕事術!成果を上げるトークスクリプトのポイントとは
コールセンターは、トークスクリプトを用いることで業務の品質を一定の水準に保つことが可能です。そこで、今回はトークスクリプト作成のポイントや手順、構成案のサンプルなどをまとめていきます。
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コールセンターで使われるトークスクリプトとは
トークスクリプトとはお客様と話をする際に手本にできる台本(シナリオ)をいいます。コールセンターの業務には、大きく分けてインバウンド業務とアウトバウンド業務があります。インバウンド業務は、お客様からの電話を受信する業務を指します。一方、アウトバウンド業務は対象となるお客様に能動的に電話を発信する業務のことをいいます。オペレーターはお客様に伝えたい内容をすでに決めてから発信するので、会話のアプローチを計画的に組みやすい点が特徴です。そのため、具体的な会話の流れを想定したトークスクリプトを使うことがスムーズで効果的な電話のやり取りにつながります。
ただし、コールセンターといっても、業務の内容はさまざまです。企業によってお客様に伝えたい会話の内容は変わってくるため、各企業のコールセンターで独自のトークスクリプトを作成することが求められます。また、同じ企業のコールセンターからの電話であっても受けるお客様によって会話は異なってくるものですし、実際の電話では必ずしも想定通りに会話が進まないこともあります。そのため、トークスクリプトのなかには基本的な会話の流れとともに、よく交わされる会話や質問などについての対応方法も補足されていることが通常です。
トークスクリプトの意義と管理の仕方
アウトバウンド業務を行っているコールセンターであれば、必ずトークスクリプトが用意されています。オペレーターの技術に大きな差を生まないようにし、一定以上のレベルを維持するためには、基本的な会話のシナリオを用意しておくことは重要となります。ただし、トークスクリプトは用意さえしておけばいいというものではありません。実際にお客様の反応などを見ながら、頻繁に内容を見直して、より質の高いトークスクリプトにしておくことが大切となります。コールセンター業務を始めた当初から一度も内容を更新していない企業は要注意です。定期的に会話内容をモニタリングして、お客様の心を掴めるようなトークスクリプトに常に更新していくことが求められます。
トークスクリプトの作成方法のポイント
コールセンターの効率や成果を高める事のできる仕事術として、トークスクリプトの活用があります。そのトークスクリプトの作成方法については、押さえておきたいポイントがいくつかあります。各ポイントの内容をよく理解した上で、作業を進めていけば理想的なトークスクリプトが完成するでしょう。ここでは、押さえておきたいポイントとはどのようなものかを詳しく見ていきます。
営業成績に大きな影響を与えるトークスクリプトの作成に不安がある場合には、コールセンターの委託サービスを利用するという方法もあります。数多くの経験と専門性の高い分析から、それぞれの企業に合ったお客様対応についてのサポートを受けることが可能だからです。
現場経験の豊富なスタッフが作成する
トークスクリプトは、コールセンター業務の骨幹と言えるものです。机上の空論に基づく内容ではなく、現場の実情に基づく内容でなければ役に立ちません。現場の実情をトークスクリプトに反映させるためには、現場のことをよく知る経験豊富なスタッフが作成することが最善の方法です。これまでの経験から、質問されやすいことやトラブルを上手く切り抜ける方法などを厳選してトークスクリプトの内容に盛り込むことが可能だからです。また、作成に携わるスタッフにはスーパーバイザーのようにコールセンター業務を監督する立場の人も入れておくことで、異なる視点からの意見を取り入れることが可能になります。
これまで経験豊富なオペレーターが感覚的にやっていたトーク術をトークスクリプトの内容に入れることができれば、新人でもそれなりの仕事ができるようになります。また、一度作成したトークスクリプトは改定をしながら引き継ぐことが可能です。つまり、トークスクリプトがあれば、オペレーターの入れ替わりがあっても優れたトーク術が失われることはなくなるでしょう。
見やすいレイアウトにする
トークスクリプトの作成で、重要なポイントになるのがレイアウトです。話は進んでいくにつれて分岐していきます。レイアウトが良くなければ、分岐点で次にどのような対応をすればいいのかわからなくなるでしょう。トークスクリプトは、顧客の返答に合わせて話を進められるようにフローチャート方式で書かれることが多いです。状況に合わせて会話を進められるように色分けをしたり、枠や文字の大きさを調整するなどの工夫をすれば見やすくなります。また、コールセンターでの会話は「オープニングトーク」「メイントーク」「クロージング」という要素で構成されます。全てをまとめてしまうと内容がわかりにくくなりますので、要素ごとにトークスクリプトの内容を分けた方が良いでしょう。
ロールプレイングをして精度を高める
ロールプレイングを重ねることは、トークスクリプトの精度を高める効果的な方法です。経験豊富なスタッフが作成していたとしても、言葉として発するときには話し言葉として不自然に感じる部分や堅苦しさを感じる部分も出てきます。また、言葉足らずで顧客に内容が伝わりにくい部分や時代にそぐわない言い回しなども中にはあるでしょう。そういった部分は顧客に違和感を感じさせることになり、会話を妨げる原因となりますので修正すべき点です。ロールプレイングを繰り返して修正点の洗い出しを行い、手直しをすれば理想的なトークスクリプトが完成します。
現場の声を反映させてブラッシュアップを行う
試行錯誤の末にトークスクリプトを完成させた後も、現場の声を反映させてブラッシュアップを行うことが必要です。トークスクリプトをもとに会話を進めていったときの顧客の反応などを参考にして、さらに成果を上げる方法を考えます。一部の人が得た知見をトークスクリプトに反映させていくことで、コールセンター全体の質を高めることができるでしょう。また、トークスクリプトに基づく対応が顧客の反発を招いたときには、その点を改善することで同じ過ちを繰り返さずに済みます。
コールセンターのトークスクリプトの作り方
コールセンターで使うトークスクリプトは、手順に従って作業を進めていけば作ることができます。ここでは、どのような手順があるのかを詳しく見ていきましょう。
Step1.ペルソナを設定する
トークスクリプトを作るために、まずやっておきたいのがペルソナの設定です。ペルソナとは自社の商品・サービスの顧客像を具体的に考えたもので、年齢・性別・職業・結婚の有無などの属性に加えて、抱えていそうな悩みなどの背景も設定して架空の人物像を作り上げます。ターゲットに似ていますが、ターゲットは顧客層であり実在している集団です。例えば、アンチエイジング用の化粧品を販売するメーカーであれば、肌の衰えを感じ始める30代後半以上の女性がターゲットです。ペルソナの場合は、36歳の既婚女性で子育てをしながら保険の営業をしているというように設定していきます。
ペルソナを設定する理由は、年齢や性別などの属性の違いがもたらす価値観やライフスタイルの違いに寄り添うためです。コールセンターに質問が寄せられたとき、あらかじめペルソナを設定していれば顧客に合わせた回答がしやすくなります。顧客にオペレーターが寄り添うことができたら顧客満足度が高まり、再び自社の商品・サービスを購入してくれるようになるでしょう。
Step2.必要な情報を整理する
トークスクリプトを作るためのStep2は、必要な情報を整理することです。必要な情報とは、自社で扱う商品・サービスやペルソナの情報を指します。商品・サービスの仕様やペルソナの属性などをわかりやすくまとめていきましょう。なお、コールセンターの業務には顧客から電話がかかってくるインバウンドと顧客に電話をかけるアウトバウンドがあります。インバウンドであれば、商品・サービスに関する問い合わせに回答することなどがオペレーターの仕事です。一方で、アウトバウンドは商品・サービスの魅力を伝えることができれば、商品の購入・サービスの契約に繋がります。インバウンドとアウトバウンドでは必要となる情報が異なりますので、注意しましょう。
インバウンドであれば、顧客から寄せられた質問のデータやクレームとなりやすい商品・サービスの欠陥などをトークスクリプトの内容に盛り込みたいところです。アウトバウンドでは、電話をかけた相手が最後まで話を聞いてくれるように、アピールしたい商品・サービスの魅力やペルソナから想定される悩みの解決法などを会話に取り入れると良いでしょう。整理する情報は膨大ですので、根気良く取り組む必要があります。
Step3.トークフローの骨組みを作る
トークスクリプトを作るためのStep3は、トークフローの骨組みを作ることです。トークフローとは、会話の始まりから終わりまでの流れ(フロー)をわかりやすく図式化したものです。トークスクリプトは、台本のように会話の内容まで詳しく書いてありますが、トークフローはおおよその流れしか書いていません。トークフローを作ることで、オペレーターがどのようにして会話を進めていくのかを理解することができます。トークフローもトークスクリプトと同様に、会話の分岐がわかるようにフローチャートで書かれることが多いです。
トークフローの骨組みは、会話がどこで分岐するのかを考えれば作れます。例えば、商品・サービスを売り込む営業電話をかけるとき、最初の分岐点となるのは担当者の所在を確認することです。電話に出た相手が担当者がいると返答したならば、代わってもらえるように頼みます。不在だと返答されたときには、戻ってくる時間を訪ねることで次のチャンスを掴みます。担当者がいても、突然の営業電話だからと拒絶されることは珍しくありません。その場合は、大人しく引き下がるというのが無難な対応となるでしょう。
このように、あらゆる分岐を考えて作り込まれたトークフローはトークスクリプトの土台となるものですから、両者の関係には整合性が求められます。トークスクリプトに手を加えるときには、その内容をトークフローにも反映させましょう。また、どの様に会話が分岐をしたとしても、流れが中途半端な状態で終わってはいけません。成果に繋がらなくとも、失礼がないように会話を終了させることがトークフローの骨組みを作る上で重要な点です。
Step4.具体的な会話の内容を反映させる
トークスクリプトを作るためのStep4は、具体的な会話の内容を反映させることです。具体的な会話の内容というのは、オペレーターと電話に出た顧客の会話を想定した文章にするということを意味します。会話の流れはトークフローの骨組みを土台とし、詳しい内容を肉付けしていきます。具体的に数値や例を提示したいときには、根拠となるデータを確認してから正確に内容に盛り込みましょう。
トークスクリプトを作る際に心掛けておきたいことは、文語体ではなく口語体を基本とすることです。トークスクリプトはオペレーターが読み上げる台本であり、文語体で書くとそれを口語体に変換する手間がかかって会話がテンポよく進まなくなります。加えて、オペレーターの習熟度に関わらず丁寧で礼儀正しく対応ができるように、言葉遣いには注意しましょう。正しい敬語で文章を書くと同時に、わかりにくい言い回しや難読漢字の使用は避けた方が無難です。
コールセンターのトークスクリプトの構成案のサンプル
コールセンターのトークスクリプトとはどのようなものかを理解できるように、構成案のサンプルを解説します。ここでは、インバウンドコールセンターで使える構成例について取り上げます。
インバウンドの構成例
コールセンターにおいて、インバウンドとは顧客からの電話を受信(インバウンド)して対応することを意味します。商品・サービスに関する問い合わせの電話や注文などを聞くことが仕事であり、受動的な業務と言えるでしょう。そんなインバウンドで、トークスクリプトがどのような構成となるのかをわかりやすく例を挙げて解説していきます。
|オープニングトーク
インバウンドで、かかってきた電話を受け取ったときには最初の挨拶をオープニングトーグで行いましょう。オープニングトークで大事なことは、明るく聞き取りやすい声で喋ることです。第一声は「お電話ありがとうございます」など電話をかけてくれたことのお礼を兼ねた挨拶にしておき、続いて「(社名)カスタマーセンター(部署名)の(担当者名)です」という具合に誰と話しているのかを明らかにします。そのあとには「本日はどのようなご用件でしょうか?」と電話をかけてきた用件を尋ねましょう。なお、コールセンターが混雑しているときには、電話が繋がるまでに時間がかかっていることもあります。その場合は、最初に「お待たせして申し訳ありません」などのお詫びも必要です。
|顧客のお問い合わせに対する対応
オープニングトークを一通り終えたら、次に顧客のお問い合わせに対する対応を行います。問い合わせの内容は多種多様です。それに対して、適切な対応をしなければいけません。基本的にはトークスクリプトに基づいて会話を進めていきます。まずは「購入いただいた商品の修理をご希望ですね」というように、問い合わせの内容に間違いがないのかを復唱して確認しましょう。コールセンターでは、企業によく寄せられる質問と回答例をデータベース化し、オペレーターが検索できるようにFAQシステムとして運用している場合もあります。質問の内容によっては、FAQシステムで簡単に回答が見つかりますので、その内容を伝えれば解決です。
トークスクリプトでもFAQでも回答が見つからない場合には、答えを知っている担当部署や担当者に電話を回すこともあります。その場合は「担当部署(担当の者)にお繋ぎいたしますので、少々お待ちください」と言って電話を保留した後に、担当部署や担当者に任せます。調べればわかるものの時間がかかりそうなときには、「お調べしますのでしばらくお待ち下さい」や「確認でき次第折り返しお電話をさせていただきます」と伝えましょう。
|クロージングトーク
対応が済んだ電話の締めとなるのが、クロージングトークです。「お電話ありがとうございました」というように、問い合わせの電話をかけてくれたことに感謝の気持ちを示しましょう。それから「また何かありましたらお気軽にお電話ください」というように、今後とも悩み・疑問・クレーム等があればいつでも対応することを伝えます。最後は、「失礼いたします」と言って会話を終了します。なお、コールセンターではオペレーターの方から電話を切ってはいけないことがルールとなっていることも少なくありません。相手が切るのを待って、オペレーターも電話を切ります。なかなか電話を切ろうとしない相手に対しては、通話を切るように促すことも必要です。
トークスクリプトはコールセンター業務に欠かせない
トークスクリプトを導入すれば、新人オペレーターもベテランオペレーターのトーク術を真似できるため成果を出しやすくなります。また、トークスクリプトを洗練させ、より精度を高めることができれば、顧客にも満足してもらえるようになるでしょう。もし、トークスクリプトを作らず、場当たり的な対応をしていれば、そのように効率的で適確な作業を行うことは困難です。そういったことから、トークスクリプトはコールセンター業務に欠かせないものであることがわかるでしょう。
コールセンターは優れたトークスクリプトを用意している委託会社に任せよう
インバウンドコールセンターを運営するためには、トークスクリプトが欠かせません。しかし、自社でゼロの状態からトークスクリプトを作るためには相当な労力と時間がかかるため、委託するのも一つの手です。30年以上もコールセンター業務の代行をしてきた日本テレネットのBPOサービスであれば、しっかりしたトークスクリプトに基づいた対応をしてくれます。日本テレネットのBPOサービスに興味があれば、まずは問い合わせることをおすすめします。
「コールセンター委託ポイント」についてはコールセンター委託ポイントを徹底解説!の記事もぜひご参照ください。