コールセンターの応対品質とは?品質向上の方法やチェック項目も紹介
2023.03.01|⟳ 2025.08.08|インバウンドコールセンターコールセンターの運営に頭を悩ませている人も多いのではないでしょうか。今回はコールセンターの応対品質とは何なのか、管理方法や品質向上の必要性、導入事例などを交えながら詳しく解説していきます。
コールセンターの応対品質とは
オペレーターが、どの程度のレベルでお客様への対応ができているのかを表わす指標となるのが、コールセンターの応対品質です。電話を受けた時の待ち時間、お客様の満足度、話しやすさなど様々な評価項目を設定し、オペレーターの応対品質を評価していきます。
応対品質を評価し、問題点の抽出やフィードバックを行うことで、コールセンターの質の向上や改善に活かすことができます。
応対品質が悪いといわれる原因
応対品質の低下は、顧客満足度や企業の信頼性に直結する重要な課題です。
以下にて、応対品質が悪化すると評価される主な要因を4つの観点から解説します。
顧客の意図を汲み取れない対応
顧客の発言内容を表面的にとらえるだけで、真意や背景まで読み取れない応対は、不満のリスクが高まる要因です。
たとえば、製品の仕様確認であっても、実際には「使いこなせるか不安」といった感情が隠れている場合があります。
オペレーターが傾聴力を持ち、顧客の立場に立った対話を意識しなければ、問題解決には至りません。
言葉遣いや態度の不適切さ
丁寧な言葉づかいや、落ち着いた話し方ができていない場合、顧客に不快感を与えてしまいます。
とくに敬語の誤用や、威圧的なトーン、無愛想な対応は、企業の印象に大きな悪影響を与える可能性があります。
研修不足や個人の意識の低さが背景にあるケースが多く、応対マナーの徹底が必要です。
対応スピードや情報提供の不備
「保留が長い」「情報が二転三転する」といった遅延や混乱は、顧客の信頼を損なう要因となります。
応対中に必要な情報へ迅速にアクセスできない、ナレッジ共有が社内で整っていないといった課題があると、解決までの時間が延び、満足度が低下します。
業務プロセスやシステム設計の見直しも求められます。
コールセンターで応対品質管理で得られる3つのメリット
コールセンターにおいて、応対品質管理が重要視されているのは、なぜなのでしょうか。ここからは、応対品質管理で得られる3つのメリットについて、詳しく解説していきます。
1.優良顧客を増やす
オペレーターの応対品質次第で、企業に対する顧客の評価は大きく変わってきます。応対品質管理をしっかり行い、顧客の評価を上げることで、優良顧客になってくれる可能性が高まります。
優良顧客は一般的な顧客よりも、一人当たりの売上は大きくなります。また、優良顧客は友人や家族などに自分が気に入ったサービスや商品を勧めてくれるため、
より多くの顧客を獲得するチャンスが生まれます。優良顧客が増えるというのは、応対品質管理を行う大きなメリットです。
2.企業イメージを維持する
企業イメージを維持するためにも、応対品質管理は重要なものです。
ネットが発達し、SNSなどが増え誰でも気軽に自分の意見を世界に発信できるようになったため、企業の対応品質がどの程度なのか、拡散されやすくなっています。
顧客満足度が高くなるように、応対品質を高めておけば、企業の良いイメージが多くの人に広まる可能性も十分あります。
企業イメージを維持するためには、企業応対品質管理をしっかり行い、顧客満足度を向上させることが大切なのです。
3.業務改善につながる
応対品質管理は、業務改善にも役立ちます。応対品質管理を行うと、オペレーターの問題点や改善点など、様々なことが見えやすくなります。
電話の対応までに時間がかかっている、説明が顧客に上手く伝わっていないなど、問題点がはっきりすれば、改善もしやすくなるでしょう。
応対品質管理を行った上でオペレーターの教育を実施し、応対品質のレベルを上げれば、顧客満足度の向上を目指すことができます。
それだけではなく、オペレーターの応対品質のレベルを把握しておけば、適切な部門にオペレーターを配置しやすくなり、効率的な運営が可能になります。
コールセンターで応対品質を向上させる具体的な方法
ここからは、実際に応対品質を向上させる具体的な方法について見ていきましょう。
評価項目を具体的に設定する
公平にオペレーターを評価するためには、具体的に評価項目を設定する必要があります。
評価項目を設定する時のポイントは、誰でも理解しやすく、採点やフィードバックを行いやすい項目に絞ることです。
コールセンターにおいて重要になる、下記「満足度」、「関係性」、「正確性」、「迅速性」の4つについては、評価項目を設定しておくとよいでしょう。
- 満足度:顧客が対応に満足したかどうか
- 関係性:顧客との信頼関係が築けたか
- 正確性:提供した情報に誤りがなかったか
- 迅速性:適切なスピードで対応できたか
これらの項目をもとにフィードバックを行えば、応対品質の可視化と継続的な改善が可能となります。
オペレーター研修を提供する
オペレーターに研修を提供することも、応対品質の向上に繋がります。経験の浅い新人オペレーターに対して、事前にしっかり研修を行っておけば、コールセンターの質の低下を防ぐことができます。
もちろん、ベテランオペレーターに対して研修を実施することも大切です。
定期的にトレーニングを受けてもらえば、スキルの低下や応対レベルのばらつきを防ぐことができるでしょう。
新人に対しても、ベテランに対しても研修を行い、コールセンター全体の品質を向上させることが重要です。
応対品質管理者をトレーニングする
オペレーターだけではなく、応対品質管理者に対してもトレーニングを実施することが大切です。
管理者が育っていなければ、適切にオペレーターの評価をしたり、教育管理をしたりすることはできません。
リスクマネジメントの方法、オペレーターへの指示の仕方、目標設定の方法など、管理者に必要なスキルや知識をトレーニングすることで、より精度の高い応対品質管理が可能になります。
定期的にモニタリングとフィードバックを実施する
対応品質を維持するためには、オペレーターに対して定期的にモニタリングを行うことが必要です。最低でも数ヶ月に1回、できれば1ヶ月に1回の頻度でモニタリングをするのが望ましいでしょう。
オペレーターの出入りが激しいコールセンターも多いので、短いスパンでモニタリングを続けることで、コールセンターの品質を保ちやすくなります。
モニタリングによって業務の問題点や改善点を抽出しましょう。
社内でフィードバック体制を整備する
上述したモニタリングと併せて、抽出された問題点や改善点をオペーレーターにフィードバックすることも大切です。
オペーレーターに対して、適切なフィードバックができるよう、社内でフィードバック体制をしっかり整備しておくようにしましょう。
どう伝えればオペーレーターのモチベーションを下げず、問題点や改善点を理解させられるかを考え、担当者を決める必要が出てきます。
オペーレーター経験者をフィードバック担当者に選ぶというのも1つの方法です。そうすれば、オペーレーターの気持ちを汲んだ上で、的確な指摘ができるようになります。
オペレーターのモチベーションを保つ施策を検討する
応対品質を向上させるために重要になるのが、オペレーターのモチベーションです。
オペレーターのモチベーションが高まれば、応対品質が向上するだけではなく、離職を防ぐこともできます。
コールセンターの運用において、オペレーターのモチベーションを保つことは重要な要素になるということです。
表彰制度を設ける、研修を充実させる、時給を上げる、シフトに柔軟性を持たせるなど、オペレーターのモチベーションを上げる様々な施策を検討するようにしましょう。
システムを活用し客観的な数値による品質管理を行う
どんなに品質管理を行っても、それが目に見えて分からなければ意味がないため、客観的な数値を出して管理を行うことが重要になります。
オペレーターの通話回数や稼働率、顧客情報などを数値化するシステムを活用すれば、手軽に客観的な数値を算出することができます。
誰が見ても分かるような数値で品質管理を行えば、コールセンターの品質がどの程度なのか、主観だけではなく客観的に判断しやすくなります。
様々なデータを集計できるレポート機能、顧客情報の管理に役立つCRMなど、様々な機能を備えたシステムがあるので、上手く活用しましょう。
応対品質を評価する方法
ここからは、具体的にどのような方法で応対品質を評価すればよいのか解説していきます。
モニタリングスコアの活用
モニタリングスコアというのは、オペレーターの声の印象や言葉遣いなどをスコア化したものです。
人は誰かと対面で話をする時、ジェスチャーや顔の表情など、声以外のコミュニケーションも使っています。
しかし、電話で顧客の対応をしなければならないオペレーターは、声以外のコミュニケーションを使うことができません。
そのため、声の印象や言葉遣いが重要になるわけです。モニタリングスコアを行い、声の品質をスコア化することで、オペレーターが顧客にどのような印象を与えているのかをデータ化することができます。
モニタリングスコアを活用し、オペレーターの問題点を見つけ出せば、応対品質を高めやすくなるでしょう。
評価項目を自己評価する
応対品質の評価は、管理者だけではなくオペレーター自身にしてもらうことも大切です。
用意しておいた評価項目を基に、オペレーターに自己評価してもらうことで、自分自身の電話の受け方、言葉遣い、勤務態度などを見直すことができます。
人に言われるのではなく、自分自身で問題点を見つけ、どのように改善すればよいのかを考えることで、モチベーションアップにも繋がります。
評価項目をフィードバックする
評価項目はフィードバックして、しっかり対応がなされているかを確認することが大切です。
評価によって問題点を見つけても、それを改善しなければ応対品質を向上させることはできません。
コールセンターの管理者などがフィードバックを行い、評価項目に沿った対応をするようにしましょう。
お客様アンケートの活用
お客様アンケートを活用することで、より応対品質の評価の精度を高めることができます。
お客様のアンケートは、コールセンターを実際に利用して感じた生の声を聞くことができる重要なものです。
電話の繋がりやすさ、オペレーターの対応など、細かい情報収集に役立てることもできるので、積極的にお客様アンケートを取るようにしましょう。
アンケートを取る方法は様々あります。住所が分かっているお客様に対しては自宅にアンケート用紙を送付する、電話の後にアンケートコーナーが設置されているWebページへ誘導するなど、いくつか方法を用意しておくとよいでしょう。アンケートの項目は、分かりやすい内容で、適切な数にしておくことが大切です。
数値から評価する
数値から評価することも重要なポイントです。数値であれば誰が見ても分かりやすく、明確な基準になるので判断が曖昧になるのを回避できます。
評価項目には、発信数や成約数など、具体的な数値で評価できる項目も設けておくようにしましょう。
発信数
発信数は、顧客がコールセンターをどの程度利用しているのかを示す重要な数値です。
しかし、発信数が多ければ多いほど良いというわけではありません。
故障などのトラブルを受け付けているコールセンターであれば、発信数が多いとそれだけ製品にトラブルが多いということになります。
一方新製品に対する問い合わせが多ければ、自社の製品に興味を持つ顧客が多いということです。
発信数で応対品質を評価する場合は、コールセンターの業務内容に合わせて、判断するようにしましょう。
成約数
営業を行うコールセンターの評価項目の候補になるのが成約数です。
成約を取るためには、オペレーターのビジネスマナーや言葉遣い、営業能力などが大きなポイントになります。成約数が多ければ、それだけオペレーターの質が高いということになります。
また、企業への貢献度も高くなるので、重要な評価項目の一つと言えるでしょう。
通話時間
通話時間は、お客様がコールセンターに電話をして、どの程度の時間で問題が解決したかを表わすものです。
通話時間が短ければ、それだけ問題解決のスピードが速いということになります。
オペレーターの質の高さや、顧客の満足度にも繋がる重要な項目です。通話時間が長いと、他のお客様の電話に出る機会を逃すことになるため、いかに通話時間を短くするかが、コールセンターの質の向上に繋がります。
ただし、あまりにも通話時間が短い場合、お客様が途中で電話を切ってしまった可能性もあるため、単純に短ければ良いというわけではありません。
【事例】品質管理の見直しによる成功例
品質管理を見直すことで、どのような利点があるのでしょうか。ここからは、品質管理の見直しによる成功例をいくつか紹介していきます。
健康食品系(インバウンド・インハウス)
健康食品系の企業では、品質管理を見直し、商品のリピート率がアップしたという成功例があります。
健康食品を販売する企業において、商品のリピート率は売上を左右する重要なポイントです。
覆面調査やモニタリングなどを定期的に行い、品質管理を見直したことでオペレーターの対応が良くなり、商品のリピート率がアップしたという企業は多くあります。
企業が販売する商品とお客様の接点となるのがオペレーターです。商品の説明や、問い合わせの対応の質が、商品の売上に大きく影響する業界と言えるでしょう。
通信キャリア系(インバウンド・インハウス&アウトソース)
顧客満足度を指標に設定し、自社内製オペレーターと外注オペレーター共通の品質評価項目によってスコアを出すことに加えて、短いスパンでお客様アンケートを実施したことで、オペレーターの質の向上に成功した通信キャリア系の企業があります。
通信キャリアは、数多くの料金プランやサポートなどがあるため、顧客によって説明の仕方や対応の仕方が変わってきます。
オペレーターの質が、顧客満足度に大きく影響するということです。
定期的に品質管理の見直しを行い、オペレーターの品質向上に努めることで、顧客満足度が上がり、成約数を増やすことに繋がるでしょう。
家電販売系(インバウンド・インハウス)
独自のアンケート調査を行い、オペレーターの評価を行っている家電販売系の企業があります。
サービス評価と対応品質を5段階に分け、お客様にアンケート調査を行った結果、オペレータの評価がしやすくなっただけではなく、商品などに関する情報が不足していると気付き、公式サイト上のFAQや商品ページへ補足情報を掲載するといった施策にも繋がりました。
家電を販売する場合、機能の説明や設置方法など、細かく丁寧な対応が必要になります。評価項目を5段階に分けるなど、独自の方法で品質管理の見直しを行うことで、応対品質の向上に成功した事例です。
応対品質を確認する際のチェック項目
コールセンターの応対品質を的確に評価するためには、複数の観点からの確認が必要です。
こちらでは、応対スキルや解決力、定量評価、モニタリング体制など、重点的に見るべきポイントを整理してご紹介します。
基本的な応対スキルの有無
応対スキルの確認は、顧客対応の土台となる重要な評価項目です。
明るく聞き取りやすい声、正確な言葉遣い、適度な話速や間の取り方などが求められます。
また、相手の発言を遮らず傾聴し、適切なタイミングで復唱する姿勢も評価のポイントです。
これらのスキルはチェックシート化することで、オペレーター間の評価基準を平準化できます。
さらに、初期研修やロールプレイングとの連動により、日常業務でもスキルの定着を図ることが可能です。
課題解決力の評価
課題解決力とは、顧客の抱える問題を的確に把握し、最短で適切な解決策を提示できる力を指します。
単にマニュアル通りに回答するのではなく、状況や顧客の意図を読み取り、柔軟に対応する姿勢が重要です。
対応中に新たな課題が発生した場合のエスカレーション判断や、補足提案の有無も確認ポイントとなります。
この評価を通じて、応対の品質だけでなく、センター全体の対応力向上にもつながる結果が期待できます。
CSATやNPSなどの定量評価
CSAT(顧客満足度)やNPS(ネット・プロモーター・スコア)は、応対品質を数値で可視化できる重要な指標です。
CSATは「今回の応対に満足したか」を直接確認する手段であり、サービスの質をダイレクトに反映します。
一方、NPSは「この企業を他人にすすめたいか」を測る指標で、顧客との関係性の強さを示しますが、これらを定期的に収集・分析することで、センターの課題や改善点を客観的に把握できます。
さらに、KPIとして継続的に管理することで、品質向上施策の成果測定にも活用できます。
モニタリングとフィードバック体制の有無
通話録音やモニタリングは、応対品質を維持・改善するために不可欠な仕組みです。
定期的にオペレーターの通話内容をチェックし、評価指標に基づいてフィードバックを行うことで、問題点の早期発見と修正が可能になります。
重要なのは、評価で終わらせず、OJTや個別指導などの育成施策に結びつけることです。
また、フィードバック体制は単なる指摘にとどまらず、オペレーターの成長を促すポジティブな支援であるべきです。
信頼関係のある運用が、組織全体の品質底上げに繋がります。
応答品質の高いコールセンターの確立を目指そう
コールセンターの応答品質の高さは、顧客満足度に大きく影響する重要なポイントです。社内で評価を実施し、改善に向けてKPIを設定して取り組みを続けていけば、きっと顧客が喜ぶコールセンターを確立できます。
しかし、顧客は今後も変化していく可能性が高く、コールセンターに求めることも変わっていくでしょう。
それに対して柔軟に応答品質を適合させていかなければ、顧客に納得できるサービスを提供し続けることは難しいでしょう。
そのため、コールセンター業務をプロとして常に取り組んでいる会社にアウトソーシングするのは効率的と言えます。
日本テレネットのBPOサービスは充実した教育を実施してスタッフの能力向上に努めており、応対品質向上のためのモニタリングとフィードバックを常時実施しています。
アウトソーシングでコールセンター業務の品質を向上させたいと思ったら、日本テレネットにまずは相談してみましょう。
おわりに
本記事では、コールセンターにおける応対品質の定義から、課題・評価方法・改善策まで多角的に解説しました。
顧客満足度の向上や企業イメージの維持には、的確な評価と継続的な改善が欠かせません。
自社での管理に限界を感じた場合は、外部の専門サービスの活用も有効です。
より高品質な応対体制の構築に向け、できることから着実に取り組みましょう。
「コールセンター委託ポイント」についてはコールセンター委託ポイントを徹底解説!の記事もぜひご参照ください。
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