コールセンターにおけるKPIとは?重要性や種類・算出方法を紹介

2023.09.09|⟳ 2025.08.05|コールセンター

コールセンターは目標設定が大切!KPIの例と併せて解説

コールセンターは、企業とお客様をつなぐ入口として、日々多くのお客様の対応を行うポジションです。

しかし、なかにはお客様対応さえしていれば良いと考えるスタッフが在籍していることがあります。

ビジネス行動である以上、コールセンターにもKGIやKPIを設定する必要がありますが、どのような目標が良いのでしょうか。

本記事では、コールセンターにおける目標設定について、KPIの例とあわせて解説します。

導入事例はこちらから

コールセンターにおけるKPIとは

コールセンターにおけるKPIとは

KPIは「Key Performance Indicators」の略で、「重要業績評価指標」と訳されます。

最終目標であるKGIを達成するための中間目標としての役割を持つKPIには、下記のような目標を設定する企業が多いです。

  • 応答率〇〇%以上
  • 着信から応答までの平均時間〇〇秒以内
  • 指定時間内の対応件数〇〇件以上

 

KPIはKGIを達成するための主要なアクションを指すもので、すべて達成できればKGIも達成できるようになっています。

また、KPIを達成するためのアクションを考えることも重要です。

たとえば、1件あたりの対応時間が長い場合は、トークスクリプトを用意するといったことがアクションになります。

また、応答率が悪い場合はその原因を洗い出し、スタッフの増員や業務の削減といった対策が考えられるでしょう。

コールセンター全体では統一目標としてKGIを掲げ、個人にはKPIを設定することで、収益を上げることが可能です。

コールセンターのKPIについては、後述する「コールセンターのKPI例」の項目で詳しくご説明します。

 

KPIの重要性

KPIを設定することで、業務の目標達成度を定量的に把握できるため、組織全体の課題発見や改善にもつながります。

また、オペレーターごとのパフォーマンスや業務プロセスのボトルネックも明確になり、適切な改善策の立案が可能です。

KPIの導入は、サービス品質の維持・向上と運営効率の最適化を同時に実現するための基盤といえるでしょう。

 

コールセンターにおけるKGIとは

KGIはKey Goal Indicatorの略で、直訳すると「経営目標達成指標」になります。

企業の経営戦略やビジネス戦略のゴールを指すKGIには、収益が当てはめられることが多いです。

コールセンターにおいても収益を当てはめられることが多いですが、多くの企業では下記のKGIを設定します。

  • 顧客満足度の前年比(〇〇%アップ)
  • 商品のリピート率の前年比(〇〇%アップ)
  • アップセル・クロスセル率の前年比(〇〇%アップ)
  • 運営コスト(〇〇%ダウン)

 

コールセンターはお客様対応がメイン業務となるため、収益などの目標をKGIに設定しにくい傾向にあります。

そのため、コールセンターを設置している企業のなかにはKGIがあいまいになってしまっているところも多いです。

顧客満足度や運営コストなどをKGIをとして設定することで、スタッフはKGIを達成するためのアクションを行います。

その結果、コールスタッフ全体の業務の質を高めることが可能です。

 

コールセンターのKPIの種類と算出方法

コールセンターのKPIの種類

ひとことで「コールセンターの成果を良くする」といっても、掲げる目標によってプロセスも異なります。

こちらでは、コールセンターのKPIの種類と算出方法について解説します。

 

応対品質に関するKPI

応対品質に関するKPIは、クライアントに対するコールセンターの対応をチェックするときに用いられます。

以下では、応答率やSL(サービスレベル)、ASA(平均応答速度)などを取り上げて、どのようなKPIなのかを解説していきます。

 

応答率

オペレーターがクライアントに対応できた割合がチェックできる応答率は、コールセンター業務の品質を知るうえでもポイントになってきます。

応答率が高く電話がつながりやすいほど、応対品質が高いと一般的には判断されます。

応答率とよく対比されるのが、対応できなかった電話の数を示す放棄呼率です。

応答率が悪化している場合には、オペレーターの数に対して着信数が多い傾向が見られます。

応答率をチェックすることで、コールセンターが抱えている問題点なども見えてくるケースが多いです。

計算式は「応答数 ÷ 着信数 × 100(%)」であり、応答数を増やすことで応答率を向上させられます。

 

SL(Service Level:サービスレベル)

SL(サービスレベル)は、クライアントからの着信にどのくらいの時間で対応できたかの割合を表すKPIです。

一般的なコールセンターの場合、「かかってきた電話の80%に20秒以内で対応する」を目標にしています。

対応できるまでの時間が長いほど電話がつながりにくくなるため、各社では目標を設けてスピーディーな応答ができるように工夫をしています。

計算式については「一定秒数以内の応答数 ÷ 着信数 × 100(%)」であり、一定秒数以内の応答数を増やすことで、数値面の改善が見込めます。

 

ASA(Average Speed of Answer:平均応答速度)

ASA(平均応答速度)は、着信があってからオペレーターが応答するまでの平均時間です。

ASA(平均応答速度)も、応答率やSL(サービスレベル)と同様に、電話がつながりやすいかどうかをチェックするときによく用いられます。

コールセンターを運営している企業の約70%は20秒以内に応答をしているというデータがあり、ASA(平均応答速度)の向上は、企業にとっても1つの課題になっているようです。

「総応答待機時間 ÷ 応答数(秒)」で算出できるASAは、総応答待機時間を増やすか、応答数を減らすことで数値面の改善を実現できます。

 

効率性に関するKPI

コールセンター業務の効率をチェックするうえで重要になるのが、効率性に関するKPIです。

オペレーターの稼働率などは、効率性に関するKPIの代表と言えます。

稼働率と合わせて用いられるのが、AHT(平均処理時間)やATT(平均通話時間)、 ACW(平均後処理時間)といったKPIです。

CPC(コスト・パー・コール)なども、効率性に関するKPIに該当します。

 

稼働率(Occupancy Rate)

稼働率は、オペレーターが顧客対応に充てた時間が一目でわかるKPIです。

コールセンターでオペレーターがおこなう業務は、通話や後処理などの顧客対応に関するものばかりではありません。

上司との面談やオペレーター業務に関する研修なども仕事の1つになっていることがあるため、稼働率は生産性を上げるためにも妥当な数値になっていることが必要です。

計算式は「通話時間+後処理時間 ÷ 勤務時間 × 100」であり、同一勤務時間内における通話・後処理時間を増やすことで、成果向上となります。

参考ページ:当社コラム「コールセンターの稼働率とは?占有率や応答率との関係性や計算方法を紹介

 

AHT(Average Handling Time:平均処理時間)

AHT(平均処理時間)は、オペレーターが電話を受けてからメールの送信などの後処理を完了させるまでの所要時間です。

AHT(平均処理時間)を計算するときに用いられるのが、ATT(平均通話時間)とACW(平均後処理時間)の2つのKPIです。

AHT(平均処理時間)が短いオペレーターは、一般的に1人のクライアントの対応がスピーディーにできていると判断されます。

対応の質などに問題がなければ、評価も高くなる可能性があります。

計算方法は「(通話時間+後処理時間)÷ 応対件数(秒)」であり、先述した稼働率とは勤務時間と応対件数の分母が異なります。

 

ATT(Average Talk Time:平均通話時間)

1回の電話で発生した通話時間をチェックするのが、ATT(平均通話時間)です。

ATT(平均通話時間)を見ることで、オペレーターがクライアントとどのくらいの時間をかけてコミュニケーションをしたかがわかります。

ATT(平均通話時間)は、オペレーターの対応をイメージする際にも参考にされることがあります。

例えば、ATT(平均通話時間)からイメージできるのが、「クライアントの質問にきちんと回答しているか」や「時間を短縮するために一方的に話をしていないか」などです。

「通話時間合計 ÷ 応対件数(秒)」で算出でき、同一時間内でより多くの応対をした方がATTの値が高くなります。

 

ACW(After Call Work:平均後処理時間)

ACW(平均後処理時間)は、通話をした後のメール送信や入力などの後処理業務にかかった時間です。

効率的に業務を進めてACW(平均後処理時間)を短縮することは、 AHT(平均処理時間)を短くするうえでも1つのポイントです。

オペレーターの業務のスピードはもちろん、システムの使いやすさやオペレーションに無駄がないか、などをチェックするのにもACW(平均後処理時間)は参考にできます。

こちらは「後処理時間合計 ÷ 応対件数(秒)」で算出される指標であり、オペレーターには後処理時間を減らすような努力目標を伝えましょう。

 

CPC(Cost Per Call:コスト・パー・コール)

1回の通話にかかるコストを表したKPIが、 CPC(コスト・パー・コール)です。

具体的には、オペレーターの人件費や通信費などが該当します。

テナントを利用している場合は、オフィスの賃料も含まれます。

コールセンターが負担するコストでとくに高額になりがちなのが、人件費です。

CPC(コスト・パー・コール)が高い場合、大きなウェイトを占めている人件費を見直す企業も少なくありません。

「総運営コスト ÷ 応対件数」で算出でき、コストを維持して応対件数を増やすか、同じ応対件数で運営コストを減らすことで改善できます。

 

顧客満足度に関するKPI

顧客満足度に関するKPIは、クライアントがサービスにどのくらい満足しているかを知る指標です。

このKPIに挙げられるのが、 CS(顧客満足度)やNPS(ネットプロモータースコア)などです。

2つのKPIについて、少し紹介してみましょう。

 

CS(Customer Satisfaction:顧客満足度)

CS(顧客満足度)は、クライアントのアンケート結果などをデータにして分析をおこない、数値化したKPIです。

コールセンターの場合は、オペレーターの対応や提供するサービスにクライアントがどのくらい満足をしているかが、このKPIでチェックできます。

CS(顧客満足度)は、サービスの品質向上などに役立てられることが多いです。

CSは具体的な算出方法があるわけではなく、アンケートなどによる調査結果をもとに数値化する必要があります。

 

NPS(Net Promoter Score:ネットプロモータースコア)

NPS(ネットプロモータースコア)は、顧客ロイヤルティを数値化するKPIとして知られています。

NPS(ネットプロモータースコア)を算出するときには、企業に対する愛着や信頼の度合い、ほかの人にも勧めたいか、などを10点満点の数値で回答してもらい、クライアントの満足度を把握します。

高い点をつけた推奨者の数から低い点をつけた人数を引き、クライアントの全体数で割るとNPS(ネットプロモータースコア)が計算できます。

一般的には、推奨者は9~10割程度の点数、批判者は0~6割合程度の点数になるとされています。

 

マネージメントに関するKPI

コールセンターでは、対顧客に関する数値だけではなく、社内・マネージメントに関する値で評価されることもあります。

以下にて、コールセンターにおけるマネージメントに関するKPIをご紹介します。

 

欠勤率

欠勤率は、所定勤務日に対して従業員が出勤しなかった割合を示す指標です。

高い欠勤率は、業務の遅延や人員不足を招く要因となり、チーム全体の生産性や顧客対応品質に影響をおよぼします。

適切なシフト管理や健康支援制度の導入によって、欠勤の抑制が可能となります。

欠勤率の算出は、「欠勤日数合計 ÷ 所定勤務日数合計 × 100(%)」です。

 

離職率

離職率は、一定期間内に離職した従業員の割合を示すマネージメント指標です。

高い離職率は職場環境の問題や業務負荷、評価制度への不満などの可能性を示唆し、採用や育成のコスト増加にもつながります。

早期離職の原因分析やエンゲージメントの向上施策が求められます。

離職率は、「離職者数 ÷ 平均在籍者数 × 100(%)」で算出できます。

 

コールセンターでKPIを設定するポイント

コールセンターで目標を設定する

コールセンターで目標を設定する際は、「実現可能な目標を設定する」「目標を明確にする」の2つのポイントを押さえましょう。

 

実現可能なKPIを設定する

たとえば、1時間に100件のコール対応をするという目標を掲げても、実現はほぼ不可能と言えるでしょう。

また、1時間に1件という目標の場合、簡単すぎてモチベーションの低下が懸念されます。

そのため、目標を設定する際は「努力が必要だが実現はできる」ような、適度な難易度の目標を設定することが重要です。

 

KPIを明確にする

コールセンターの業務は接客対応であるため、なかなか収益換算が難しいものです。

定量目標として先述した応答率や平均対応時間を設定することで、コールセンターのスタッフも改善努力がしやすくなります。

目標を設定する際は「〇月までに〇〇を達成する」のように期限を設けておかなければ、先送りになってしまう可能性は高いものです。

目標を明確にしたあとは、いつまでに達成するのかも決めるようにしましょう。

 

コールセンターのKPI例

コールセンターのKPI例

こちらでは、コールセンターが設定するKPIの例を、計算方法とあわせてご紹介します。

指標名 説明 算出方法
ACW(AfterCallWork) 1コールあたりに要する処理時間を指します。 合計後処理時間÷総応答件数
AHT(AverageHandlingTime) 平均処理時間を指します。 (総通話時間+総後処理時間+総保留時間)÷総応答件数
ATT(AverageTalkTime) 平均通話時間です。

こちらの数値が低いほど時間内に多くの電話をしていると言えるため、高い評価を獲得することができます。

総コール数÷総通話時間
CPC(CostPerCall) 1件の電話に費やしたコストを測る指標で、こちらの値が低いほど費用対効果が高いと言えます。 コールセンター運営費÷総コール数
CPH(CallPerHour) 対応件数を稼働時間で除した数値で、スタッフの作業効率を図ります。

CPHの値が高いほど効率良く対応しているスタッフであると言えます。

対応件数÷稼働時間
稼働率 稼働時間内の対応時間を指すものです。

こちらの数値が高いスタッフは、作業時間内に多くの作業をしていると言えます。

(会話時間+後処理時間+その他時間)÷作業時間
ASA(AverageSpeedofAnswer) お客様からの着信を出るまでにかかった時間を指します。

お客様によっては待ち時間に不満を感じる方もいるため、顧客満足度を向上させるためにASAを重視する企業も多いです。

お客様の待ち時間÷つながった件数
SL(ServiceLevel) 一定時間内にスタッフが対応した件数の割合を指すものです。

スタッフのパフォーマンスデータとして参照されることが多く、評価の対象になることが多い傾向にあります。

規定時間内につながった件数÷着信件数
応答率 着信件数に対してスタッフが対応した数の割合を指すものです。

こちらの割合が高いスタッフほど、多くのお客様対応を行っていると言えます。

(対応件数÷着信数)×100
放棄率 着信に出なかった割合を指すもので、応答率と対になっています。 着信に出なかった件数÷着信数or100-応答率
CES(CustomerEffortScore) お客様が問題を解決するまでに要した労力を評価する指標です。

こちらの指標は計算で算出することはできず、段階評価で決められます。

CESが高いほど多くの労力を要しているため、改善が必要です。

企業によってどの指標をKPIにするかは異なりますが、いずれの指標も業務効率を改善し、顧客満足度を高めることが目的です。

KPIを達成した結果、大目標であるKGIの達成に貢献できることから、KPIを達成するためのアクションが求められます。

 

おわりに

本記事では、コールセンターにおける目標設定について解説しました。

コールセンターにおけるKPI(重要業績評価指標)は、応答率や平均処理時間、顧客満足度などを定量的に評価する指標です。

業務効率やサービス品質の向上に直結し、組織全体のKGI(経営目標達成指標)達成にも貢献します。

指標ごとの数値改善に向けた具体策や、適切な目標設定の重要性も解説されています。

KGI・KPIといったゴールを設定することで、達成のためのプロセスもあわせて構築できます。

スタッフ各員と目標の合意形成を行い、チームで目標達成に臨みましょう。

充実したサポートを確認

導入事例はこちらから

タグ : KGI KPI コールセンター トークスクリプト 運営
The following two tabs change content below.
アバター画像
日本テレネットのBPOコラム編集部です。高い専門性と品質を兼ね備えた弊社がコールセンター・BPOサービスに関するお役立ち情報を発信します。
コラム一覧へ