ビジュアルIVRとは?IVRとの違いや導入メリット・選び方を解説
2022.03.23|⟳ 2025.12.11|インバウンドコールセンター
ビジュアルIVRは、音声操作中心の従来型IVRに比べて、視覚的な案内により操作性を向上させる仕組みです。
顧客が自ら目的に合わせて情報へ進めるため、利便性が高まり、企業側の業務効率化にもつながります。
本記事では、ビジュアルIVRとは何かや導入メリットについて解説します。
ビジュアルIVRとは
ビジュアルIVRは、従来の音声自動応答を画面操作へ置き換えた仕組みで、問い合わせ内容を視覚的なメニューから選択できます。
顧客はFAQやチャットボットへ迅速にアクセスでき、目的の情報へ迷わず進めます。
企業側は入電対応を最適化でき、オペレーターの負荷軽減や業務効率化にもつながる点が特徴です。
IVRとビジュアルIVRの違い
IVRとビジュアルIVRの違いは、IVRが音声による案内なのに対して、ビジュアルIVRは画面で視覚的に案内することです。IVRでは顧客が音声ガイドの案内を受動的に受けるのに対して、ビジュアルIVRは主体的に情報を検索できるようになります。
具体的には、ビジュアルIVRでは、IVRのように案内の内容がわかるまで音声を聞いてからプッシュ操作をする必要がありません。
また、視覚的に見やすいメニューのなかから、自分のペースで効率的に目的の連絡先を探したり、FAQコンテンツを閲覧して自分で課題を解決したりできます。
さらに、ビジュアルIVRはIVRと異なり、機能をカスタマイズ、拡張しやすいことも特徴です。
導入するシステムにもよりますが、例えば、メニュー画面をシンプルにしてボタンを大きくするなどデザインを柔軟にカスタマイズしたり、自社の顧客管理システムと連携させたりできます。
ビジュアルIVRが注目される背景
ビジュアルIVRの導入目的として多いのは、CX(顧客体験価値)の向上と自己解決を促進できるためです。
この背景には従来の音声応答システムでは不満が出やすくなっていることや、情報を自分で検索してアクセスすることが一般的になった背景があります。
CX(顧客体験価値)の向上
ビジュアルIVRを導入すれば、IVRのデメリットであった「長時間の音声ガイドをいちいち聞かなければならない」「プッシュ操作が複雑、面倒」「電話混雑時に待たされる」などの問題を大幅に解消できます。
コンタクトセンターなどの顧客応対でCX(顧客体験価値)の大部分を占めるこれらの要素を、比較的簡単なシステムで解消できることから、企業の規模や業種を問わず、ビジュアルIVRが普及するようになりました。
加えてビジュアルIVRの導入を後押ししているのは、全世代でスマートフォンが一般的になってきたことです。
スマートフォンユーザーに対して、いかに快適な接点を整えられるかは、多くの企業にとって重要な課題になっています。
自己解決の促進
ビジュアルIVRでは、FAQコンテンツやチャットボットなどの自己解決の手段を実装しやすい面があり、このことが顧客応対業務の負担軽減につながるため、ビジュアルIVRの導入が進んでいます。
特に定型的な問い合わせでは、顧客がビジュアルIVRで提供された機能を使って自己解決できる部分が多いため、実店舗にセルフサービスを導入した場合に似た効果を期待できるでしょう。
近年ではWebサイトで自ら情報検索することが多くなったこともあり、電話での会話をわずらわしいと感じる人も増えてきました。
このような顧客に自己解決の手段を提供することは、顧客対応のサービス強化の一環にもなります。
ビジュアルIVRのアクセス方式

ビジュアルIVRは大きく4種類に分類されます。
顧客層や導入目的によって最適なタイプが異なるため、まずは特徴を整理しておくことが重要です。
ビジュアルIVRのURLをSMSで送信する
顧客が問い合わせ窓口へ電話をかけた際、IVRでビジュアルIVR利用を案内し、選択した顧客へSMSでURLを送付する方式です。
スマートフォンだけで利用でき、アプリ不要で導入しやすい点が利点です。
一方で、固定電話やガラケー利用者には対応しづらいという制約があります。
電話番号表示をビジュアルIVRの起動ボタンにする
特定の電話番号への発信をトリガーに、事前インストール済みのアプリを起動する方式です。
音声ガイダンスを省略できるため、操作の手間を抑えられます。
ただしアプリの事前インストールが必要で、関係性が浅い顧客にはハードルが高くなる可能性があります。
専用アプリに表示するタイプ
専用アプリ内で、メニュー選択やFAQ閲覧、問い合わせ先へのアクセスを行う方式です。
自社サービスに合わせた柔軟な設計が可能で、顧客ロイヤルティ向上にもつながります。
ただし、アプリを入れてもらう負担があり、会員制サービスや法人向けの利用に適しています。
企業サイトからアクセス方式
企業サイトからFAQや問い合わせメニューにアクセスする方法です。
デバイスを選ばず利用でき、システム構築もしやすい点が特徴です。
一方で、顧客に「まずはサイトへアクセスしてもらう」という行動のハードルがあり、サイト認知が重要になります。
ビジュアルIVRの導入メリット
ビジュアルIVRは視覚的なメニューによって顧客が目的の情報へ進みやすくなり、自己解決率を高められます。
企業側は入電削減や応対効率の向上につながり、オペレーターの負荷軽減および応対品質向上も期待できます。
こちらでは、ビジュアルIVRを導入することで得られる、企業側のメリットをご紹介します。
“見える化”による利便性向上
ビジュアルIVRは、顧客が抱える疑問や問い合わせを解決するための案内を視覚化する事により、顧客側の利便性を高められるという点が大きなメリットです。
従来のIVRでは、顧客が音声案内を聞き終わってからプッシュ操作を行うのが基本となっています。
一方、ビジュアルIVRでは顧客がパッと見で必要としている内容を判別出来るため、シームレスに問い合わせを進めていく事が可能です。
顧客が電話口で待たされるストレスが軽減されますので、顧客満足度の向上にも繋がります。
また、電話でオペレーターに直接問い合わせるというアクションは、顧客にとってハードルが高くなるケースも少なくありません。
電話が苦手な顧客が気軽に問い合わせる事が出来るという意味でも、ビジュアルIVRは利便性が高いツールであると言えるでしょう。
機会損失を解消
ビジュアルIVRは、電話窓口が混雑している状況でも、顧客がWebサイトや専用アプリから必要な情報へ進めるため、回線逼迫による機会損失を未然に防げます。
電話対応には回線数やオペレーター数の制約があり、あふれ呼や待ち呼が発生すると即時対応が難しくなります。
ビジュアルIVRを併用することで、顧客を適切な案内へ誘導し、混雑時でもスムーズな対応が可能になります。
折り返し予約機能を備えた製品もあり、口頭での説明を希望する顧客にも柔軟に対応できます。
入電数の削減
顧客からの問い合わせ内容は、そのすべてがオペレーター対応を必要とするものではありません。
例えば、自社サイトのFAQやよくある質問を見てもらえれば、顧客が自身で解決出来るものも少なくありません。
ビジュアルIVRは顧客が抱えている疑問について、自己解決を促す事に長けているシステムです。
オペレーター対応が必要になる内容だけを電話窓口に集中させる事が出来ますので、ビジュアルIVRは顧客からの問い合わせ数を減らす事なく効率的かつ適切な対応を実現してくれます。
通信・人件費の最適化
ビジュアルIVRは、問い合わせ内容を自動的に振り分け、自己解決へ誘導することで通話時間を短縮できます。
通話コストやオペレーター稼働を最適化できるため、コールセンター全体の運用経費を抑えられる点が大きな利点です。
入電数の絞り込みにより、必要な人員配置を適切に保ちやすくなり、人件費の最適化にも寄与します。
さらに、ビジュアルIVRを活用して効率化を進めている委託先では、教育投資やサービス品質向上に注力する傾向があり、信頼できる外部パートナーを選ぶ際の判断材料にもなります。
オペレータ負荷の軽減
ビジュアルIVRは、顧客が事前に必要な情報を確認したうえで問い合わせできるため、オペレーターが対応すべき業務が絞り込まれます。
その結果、単純な問い合わせが減り、複雑な内容に集中できる環境が整います。
また、FAQなどで解決できる問い合わせは自己完結が進むため、教育コストや研修工数の削減にもつながります。
業務負荷の分散はケアレスミスの防止にも寄与し、安定した応対体制を維持しやすくなる点も重要です。
24時間対応をサポート
ビジュアルIVRは深夜や早朝の問い合わせが想定される業態でも、オペレーター不在の時間帯に必要な情報へアクセスできる仕組みを提供します。
FAQやよくある質問へ誘導することで、自己解決を支援し、営業時間外でも顧客の疑問を解消できます。
オペレーターへの引き継ぎも可能ですが、基本は自己完結を促す設計であり、顧客が都合の良いタイミングで問題を解決できる点が大きな強みです。
多様化する働き方に対応し、顧客満足度向上にもつながります。
お客様自身で課題を解消
自分のペースで課題を解決できることは、IVRにはないビジュアルIVRの利点です。
例えば、不具合への対処方法を知りたいときに意外に面倒なのは、トラブルの発生状況や機器の動作状況などを伝える手間です。
しかし、ビジュアルIVRのFAQコンテンツなどを使えば、こうした必要はありません。
例えば、「警告ランプが点滅している」などの情報を自分で検索して、すばやく問題を解決できることがあるでしょう。
特に営業時間外の場合は、自己解決できる手段があるのはとても助かります。
人材不足解消につながる
必要なスキルを持った人材に対応してもらいやすくなるのは、顧客側のメリットです。
ビジュアルIVRのメニュー項目が細かすぎず粗すぎない程度に設定された企業なら、適切なスタッフに取り次がれる可能性が高まるでしょう。
また、どのような問題や課題があるかを、ビジュアルIVR内でアンケートに答えてから窓口に接続するタイプでは、よりピンポイントでスタッフを割り当ててもらえます。
ビジュアルIVRでの生産性と顧客体験を向上
ビジュアルIVRによるメリットについて理解が深まっても、イマイチ具体的なイメージが湧かないという人も少なくないでしょう。
ここからは、ビジュアルIVRのどのような機能によってコールセンターの生産性や顧客体験が向上するのかをご紹介します。
WebでのFAQやチャットボットへの誘導
ビジュアルIVRは視覚的なメニューを通じてFAQやAIチャットボットへスムーズに誘導でき、顧客が入力した内容に応じて自動回答を返せます。
AIは学習により精度が向上し、質問がパターン化しやすい問い合わせでは自己解決率を高めます。
FAQページとの連携も容易で、既存の回答ページが整備されていれば導入も円滑に進みます。
自己解決を促すことで入電を分散させ、顧客体験の向上と運用効率の両立に寄与します。
CRMシステムと連携
顧客からの問い合わせ対応窓口は電話以外にも、メール・Webサイト・SNSなど多様化が進んでいます。
こうした様々なチャネルから流入してくる顧客情報や進捗状況を一元的に管理するのがCRM(Customer Relationship Management)、日本語で言うところの「顧客関係管理」です。
CRMで共有された情報は特にオペレーター同士の引継ぎで重要な役割を果たし、担当者が代わってもスムーズな対応が可能となります。
ビジュアルIVRからの問い合わせもCRMと連携させる事が可能であるため、より一層効率的な顧客管理が実現するでしょう。
既にCRMを導入済みの企業はもちろんの事、ビジュアルIVRの導入をきっかけにCRMを導入するというのもおすすめです。
オペレータへの連携
FAQやよくある質問で解決出来ない内容については、ビジュアルIVRからオペレーター対応に切り替える事になります。
ビジュアルIVRは対応の切り替え時点までに入力された情報をオペレーターに引き継ぐため、オペレーターは直接顧客とコミュニケーションを始める前に最適な回答や必要な情報を整理することができます。
この機能によって問い合わせ1件あたりの解決スピードが高まり、顧客満足度向上や1日あたりの処理件数増加にも繋がります。
ビジュアルIVRを導入時の注意点と選び方

ビジュアルIVRは現在多くのコールセンターで導入が進んでいますが、企業側がツールを採用するにあたってはいくつか検討しておきたい判断材料があります。
ビジュアルIVRの効果を最大限に引き出すためにも、システム導入前には次の点について社内で検討しておきましょう。
現状の課題を把握
ビジュアルIVRの導入を検討する際には、まず自社が現状で抱えている課題を正確に把握するように努めましょう。
例えば、「問い合わせ件数に対してオペレーター対応が追いついていない」という場合には、その理由まで考察しておく事が大切です。
この場合はFAQやよくある質問の回答は充実しているか、自社サイトの周知は十分か、サイト内でFAQやよくある質問ページにアクセスしやすいかどうかなどがポイントとなります。
自社の顧客対応業務における課題点を明確にして、ビジュアルIVRの導入が有効であるかどうかを検討してみましょう。
自社だけで判断が難しい場合は、コールセンターに直接相談してみるのも1つの手段です。
お問い合わせ内容の抽出
ビジュアルIVRは、視覚的ガイダンスによる利便性の向上が大きな特徴です。
そのため、自社への問い合わせに視覚化出来る内容がどれくらい含まれているかを抽出してみましょう。
説明が難しい複雑な問い合わせや回答までの工数が多くなる質問については、オペレーターによる有人対応が必要になります。
ビジュアルIVRでの視覚化に向いているのは、商品の詳細情報・配送に関する質問・決済方法など基礎的な項目が多く、効果を引き出すためには、このように問い合わせ内容に合わせた運用が重要になります。
ビジュアルIVRの画面構成
顧客側の利便性を考える上で重要なポイントとなるのが、ビジュアルIVRの画面構成です。
メニュー項目やカテゴリー分けは細分化させ過ぎず、顧客が一目で認識しやすい範囲に留めておきましょう。
UIが階層構造になる事を踏まえて、問い合わせ内容の具体性に合わせたグループ分けを心がけます。
ビジュアルIVR内で対応出来る問い合わせ内容を広げたい場合には、キーワード入力欄を設けておくのが良いでしょう。
また、ビジュアルIVRの画面構成はそれぞれの項目から移動するリンク先についても熟慮しておく事が大切です。
場合によっては自社サイトではなく、ビジュアルIVR内の別ページに移動する事で顧客の疑問を効率的に解決させられるケースもあるため、詳しいデザインについても委託先のコールセンターに相談してみるのが良いでしょう。
画面デザインや会話設計の操作性
ビジュアルIVRの選定で重要なのは、顧客の利便性、CXを高められるかどうかです。
そのためには、使いやすい画面デザインや、細かすぎず粗すぎないメニューの設定などが大切になります。
自社の顧客にあった画面仕様にできるのか、デザインのバリエーションやテンプレートの選択肢などを調べておきましょう。
また、会話形式で項目選択を進める場合や、チャットボットなどを導入する際は、顧客の立場に立ってシナリオ設定でき、スムーズに課題を解決できるか検討することが大切です。
外部システムとの連携性
導入するシステムによって異なりますが、ビジュアルIVRは自社の顧客管理システムや、チャットシステム、FAQソリューションなどと連携させられます。
特に高度な機能を実装したい場合は、外部システムを連携できるかどうかも検討しておきましょう。
外部システムと連携することで、顧客応対業務を効率化するだけでなく、顧客行動をリサーチしてマーケティングに活用するなどの応用も可能です。
運用改善方法の充実度
システムを提供している業者のサポート体制も重要です。初めてビジュアルIVRを導入する場合は、導入支援が充実しているほうがよいでしょう。
また、自社の人的リソースが不足している場合は、運用の伴走支援や改善提案をしてくれる業者が向いています。
運用サポートが手厚い業者のなかには、ビジュアルIVRのアクセス履歴を解析して、適切な画面デザインに調整するなどのサービスを提供しているところもあります。
ビジュアルIVRを上手く活用して顧客接点を強化しよう
企業が顧客の声を直接汲み取れる機会は貴重であり、コールセンターはその意味で重要な役割を担っています。
ビジュアルIVRはコールセンター側にも顧客側にもメリットが大きいシステムですので、導入済みのコールセンターへの委託を検討してみましょう。
初めてコールセンターを委託する場合、業者選びに迷ってしまうというケースも珍しくありません。
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