コールセンターのインバウンド業務とは?課題や導入するメリットを紹介
2022.08.01|⟳ 2025.08.04|コールセンター昨今では業務効率化や顧客満足度の観点から、コールセンター業務を外部に委託する企業も多いです。
本稿では「インバウンドコールセンター」に焦点を当てて、問い合わせ業務における効果や運用のコツを紹介します。
コールセンターのインバウンドとは?
コールセンターがどのようなものか何となくイメージ出来ても、インバウンドという言葉にあまり馴染みがないという人も多いでしょう。
まずはインバウンドコールセンターの概要について解説していきます。
インバウンド業務とは?
インバウンド(Inbound)は「外から内へ入り込んで来る」という意味を持つ英語であり、観光業界では海外からの観光客をインバウンドと呼ぶ事が多いです。
転じて一般的な企業では顧客からのアプローチに対応する受動的な業務をインバウンド業務と呼ぶので覚えておきましょう。
また、近年では電話口の対応だけでなくPC上でのデータ入力や情報管理が並行して行われています。
インバウンド業務の種類
コールセンターにおけるインバウンド業務は「顧客からの電話に対応するもの」を広く指しています。
その種類は顧客からの用件に応じて大きく以下の3つに分類されるので覚えておきましょう。
受注対応
受注対応とは一般消費者からの注文を受け、実際に商品の手配やサービス加入の手続きを行う業務です。
インターネットショッピングが身近な存在となった現在では、コールセンターでの受注対応はニーズが高まっています。
また、消費者が抱いている疑問点・不明点を電話口で解決するために、オペレーターは商品知識について事前に研修を受けているのが一般的です。
細かい詳細などはPCの画面で確認しながら案内する事もあります。
カスタマーサポート
商品を購入済み、あるいはサービスに加入済みの顧客から寄せられる問い合わせに対応するのがカスタマーサポートです。
「使っているうちに不具合が起きた」「プランを変更したい」「オプションに加入したい」など、既存顧客からの様々な要望に対応します。
多様な問い合わせに対して適切な対応が求められるため、オペレーターはヒアリング力と判断力が重要視されるでしょう。
テクニカルサポート
専門性が高くカスタマーサポートで対応しきれないレベルの問い合わせは、テクニカルサポートへ回されます。
テクニカルサポートの受電数はカスタマーサポートや受注対応に比べると、そこまで多くはありません。
そのため、テクニカルサポートの部署は少数精鋭で運営されているケースが多いです。
テクニカルサポートのコールセンターは、クライアントに大型マシンを提供・販売しているBtoB企業にとって需要が高いと言えます。
インバウンドとアウトバウンドの違い
コールセンター業務は、大きくインバウンドとアウトバウンドに分類されます。
両者は役割や目的、対応方法が大きく異なります。
インバウンドとは、顧客からの問い合わせを受け付ける業務です。
具体的には、製品の使い方やトラブルへの対応、注文受付などが含まれます。
一方、アウトバウンドは企業側から顧客に連絡を行う業務で、営業活動やアフターフォローが該当します。
顧客との接点が異なるため、それぞれに求められるスキルや対応方針も変わります。
以下は、インバウンドとアウトバウンドの主な違いをまとめた比較表です。
区分 | インバウンド | アウトバウンド |
対応方向 | 顧客から企業へ | 企業から顧客へ |
主な目的 | 問い合わせ対応、サポート、受注処理 | 商品案内、調査、フォロー、営業 |
必要スキル | 傾聴力、正確な情報伝達、問題解決力 | 提案力、説得力、積極性 |
対応チャネル | 電話、Eメール、チャットなど | 主に電話(テレマーケティング) |
このように、インバウンドとアウトバウンドは役割も運用方法も異なります。
業務目的に応じて適切な体制を整えることが求められます。
インバウンド業務の課題
インバウンドのコールセンターを設置すれば、さまざまな問題を解決することができます。
しかし、インバウンドには、下記のような課題が残されています。
コールの取りこぼしによる機会損失
インバウンド業務で着信したコールに対応しきれなかった場合、顧客の信頼喪失やビジネスチャンスの喪失にもつながります。
たとえば、新規顧客からの問い合わせやリピート注文の電話に応答できなかった場合、競合他社への流出リスクが高くなるのです。
また、折り返し対応が遅れることで、顧客満足度が著しく低下する傾向も見られます。
特に、繁忙期やキャンペーン時などはコール数が急増し、限られたオペレーターでは対応が追いつかなくなりがちです。
これらの状況を放置すると、機会損失の蓄積により、売上やブランドイメージに深刻な影響をおよぼします。
オペレーター教育のコストと離職率の高さ
インバウンド業務では、応対の質が企業の評価に直結するため、オペレーターには高いスキルが求められます。
そのため、採用後の教育研修やロールプレイング、マニュアル整備など、初期コストが大きくかかってしまいます。
加えて、オペレーターの業務は精神的・身体的な負担が大きく、離職率が高い傾向にあります。
新人が定着しにくい職場環境では、常に教育コストが発生し、組織の生産性向上が難しいものです。
また、対応品質にもばらつきが生じやすくなり、結果として顧客満足度の低下を招く要因となります。
このような悪循環を防ぐためには、離職率の原因を分析した上で、職場環境の改善や業務フローの最適化が求められます。
応対品質のばらつきと顧客満足度の低下
顧客との接点が最も多いインバウンド業務では、応対品質の安定性が重要です。
しかし、オペレーターごとのスキルや経験の差、マニュアルの解釈違いなどにより、応対品質にばらつきが生じてしまいます。
品質が安定しないことで、顧客対応に差が生まれ、結果としてブランドへの信頼が損なわれる可能性があります。
さらに、対応履歴の共有が不十分な場合、同じ質問への繰り返し対応や、担当者ごとの説明の不一致などが発生します。
これにより、顧客からの不満やクレームが増加するリスクが高まります。
応対品質の維持には、業務マニュアルやFAQの整備、ナレッジ共有の仕組み化、定期的な品質チェックが不可欠です。
あわせて、音声解析や通話モニタリングなどのシステムを活用し、データに基づいた改善を継続的に行うことが求められます。
インバウンド業務を効率化する方法
インバウンドコールセンターにおける業務の効率化は、顧客満足度の向上と運営コストの最適化を両立させる重要な施策です。
こちらでは、インバウンド業務を効率化する方法をご紹介します。
自動音声応答システムを導入する
自動音声応答システムの導入により、顧客の問い合わせ内容に応じた適切な振り分けが可能になります。
これにより、オペレーターの対応工数を削減し、重要な業務に集中させることができます。
たとえば、よくある問い合わせは自動応答で完結させ、複雑な内容は担当部署へ転送することなどが挙げられます。
また、顧客管理システムを連携させることで通話開始時に顧客情報を自動的に参照でき、応対時間の短縮にもつながります。
オペレーターの教育をする
効率的な業務運営のためには、オペレーターのスキル向上が欠かせません。
業務マニュアルの整備やeラーニングの活用により、教育内容を標準化し、短期間での戦力化が可能になります。
また、ロールプレイングや品質評価を定期的に実施することで、応対品質のばらつきを抑制できます。
新人教育だけでなく、既存オペレーターへのフォローアップやスキルアップ研修も、組織全体の品質維持に効果的です。
インバウンドコールセンターを導入する
専門性の高い業務や大量の問い合わせに対応するには、外部のインバウンドコールセンターの活用が有効です。
コストを抑えつつ、一定の品質で顧客対応を継続しやすくなるでしょう。
また、業務設計やFAQ作成、システム構築まで一括して依頼できるサービスもあり、自社の負担を大幅に軽減できます。
多言語対応や24時間体制など、自社だけでは対応が困難な業務においては、外部のノウハウを活用することで有効に作用します。
インバウンドコールセンターの導入メリット
インバウンドコールセンターは既に多くの企業で導入事例があり、顧客対応業務において結果を出し続けています。
多くの企業がインバウンドコールセンターを活用するのは、大きく分けて2つのメリットが期待出来るためです。
顧客満足度の実現、収益アップが期待出来る
顧客にとってインバウンドコールセンターの窓口は「企業の顔」と言って差し支えありません。
顧客はコールセンターではなく、自分が利用している商品やサービスを提供している企業と話したくて問い合わせているのです。
顧客対応のプロであるオペレーターに対応してもらえれば、自社の企業イメージアップに繋がる可能性が高くなります。
スムーズに顧客の不安を解決することで優良顧客の育成が進み、ブランドイメージや顧客ロイヤリティの向上が期待出来るでしょう。
「生の声」を商品・サービス開発に生かせる
顧客と双方向で対話する事の出来るコールセンターの電話窓口は、企業にとって貴重な場所となっています。
顧客が疑問に感じる事・クレーム・商品の利用状況など、インバウンドコールセンターに寄せられるのはすべて顧客の「生の声」です。
顧客のために開発した商品の感想を顧客から直接聞きだせるので、品質改善のために必要なデータを最短距離で収集出来ます。
インバウンドコールセンター導入によるお問い合わせ対応の流れは?
コールセンターへの業務委託経験が無く、実際にどのようなプロセスで顧客対応が行われているのか気になるという人も多いでしょう。
細かい対応内容は委託先のコールセンターや契約プランによって若干異なりますが、基本的には以下のようなプロセスが踏まれています。
お問い合わせ対応
インバウンド業務の入り口は、まず自社製品やサービスに興味を持った消費者からの問い合わせに対応することです。
「商品の詳しい仕様を教えて欲しい」「他にどのような商品があるのか知りたい」「納期を確認したい」など、消費者からの問い合わせ内容は多岐に及びます。
オペレーターがその場で回答出来るものもあれば、関係部署に確認が必要なものもあるため場合によっては他部署への取次ぎを行う事も珍しくありません。
問い合わせ対応は企業と消費者が接点を持つ最初の機会となります。
新規契約数や販売数に大きく影響を及ぼすため、オペレーターの接客スキルも重要なカギになると言えるでしょう。
商品・サービスの申し込みと解約
顧客から商品購入やサービス入会の申し込みがあれば、電話口でオペレーターが対応します。
顧客の氏名・住所・連絡先など多くの個人情報を取り扱う事になるので、コールセンター側のセキュリティ体制をしっかりチェックしておくようにしましょう。
また、既存顧客からの解約申し込みはインバウンドコールセンターを経由して受け付ける仕組みにしている企業もあります。
こうすることで解約申し込み時に「解約の理由」を聞き出しやすくなるため、自社のサービス品質改善に役立つ情報が手に入るのです。
場合によっては顧客に解決策を提案することでサービスを継続して利用してくれるケースもあります。
商品・サービスへの質問対応
商品やサービスへの質問は購入・契約前の消費者だけでなく、現在利用中の既存顧客からも寄せられます。
顧客が抱える不安要素を取り除く事もインバウンドコールセンターの重要な役割です。
コールセンター側のオペレーター育成や体制整備だけではなく、自社から提供する商品やサービスの情報をしっかりコールセンターに伝えておく事が大切になります。
顧客と企業の関係性は購入・契約が終わった段階で途切れる訳ではありません。
インバウンドコールセンターは顧客のアフターケアにおいても、企業と顧客を繋ぐ重要な架け橋となるのです。
クレーム処理
顧客から自社に寄せられるクレームについても、インバウンドコールセンターで処理してもらう事が可能です。
クレームは自社のサービス品質向上のために貴重な情報源となります。
そのため、コールセンターで対応した内容は自社にフィードバックしてもらうのが基本です。
顧客から寄せられた不満を改善すれば、今後の更なる販売数・契約数向上に繋がるでしょう。
また、対応の印象が良ければクレームを入れた顧客の離反を防ぐ事も出来ます。
インバウンドコールセンターの運営を成功させるコツとは?
インバウンドコールセンターの運営はどこに委託しても同じという訳ではないため、自社側でも選定ポイントを把握しておく事が大切です。
コールセンターにインバウンド業務を委託する際には、次のポイントに注力している業者を選びましょう。
顧客対応のマニュアルが充実している
インバウンドコールセンターで扱う問い合わせ内容は多岐に及ぶため、顧客対応マニュアルを充実させる事がサービス品質向上への近道です。
問い合わせ受電時の挨拶・ヒアリング・質問への回答や解決策の提示・クロージングなど、電話1本でも段階的なプロセスが存在しています。
それぞれのプロセスで適切な対応を実現するためには、オペレーターが迷う事なく活用出来るマニュアルの存在が重要なのです。
例えばよくある質問への回答例、顧客が置かれている状況に応じたフローチャート、解決が難しい場合の対応策などは、コールセンターマニュアルの基本とされています。
一般的にマニュアルは社外秘とされる事が多く委託先のものを閲覧出来るとは限りませんが、マニュアルの運用方法については確認しておくのがおすすめです。
オペレーターの教育や研修に力を入れている
コールセンター業務は対面式ではないものの、オペレーターが顧客対応を行う接客業であるとも言えます。
したがって、オペレーターのスキルがコールセンターの業務クオリティに大きく影響するという点には十分留意しておきましょう。
委託先を選ぶ際は、オペレーターの教育や研修に力を入れているコールセンターがおすすめです。
優秀なオペレーターというのは勝手に育っていくものではありません。
管理者側が適切な教育・指導を行い、社内でオペレーターが成長していくための土壌が整っているかどうかが重要です。
コールセンターによっては事前に予約すれば実際の現場を見学させてもらえる場合があります。
コールセンターの雰囲気や社風、対応の様子などを直接チェックしたい場合は検討してみてください。
インバウンド業務の特性にあった人材を配置している
どんな仕事にも向き不向きがあるように、インバウンドコールセンターにも適性というものが存在します。
業務の特性にマッチした人材を配置しているかどうかも、コールセンター選びのポイントの1つです。
例えばインバウンドコールセンターでは顧客からの問い合わせ内容をPCに入力しながら対応を進めるケースが多くなります。
したがって、ある程度タイピングが速くマルチタスクが得意な人材が適任であると言えるでしょう。
接客業の一種である事から顧客と良好なコミュニケーションを取るためのトークスキル、敬語の使い方をはじめとする最低限のビジネスマナーもチェックしておきたいポイントです。
クレーム対応では相手の言い分を否定しない事が重要なので、人の話を良く聞いて物腰が柔らかい人が向いています。
IVRやチャットボットの導入も視野に入れる
コールセンター業界でもIT技術の導入が進んでおり、様々なツールが現場で活躍しています。
中でも注目を集めているのが「IVR」と「チャットボット」の2つです。
IVRは「Interactive Voice Response」の頭文字を取ったもので、日本語では「自動音声案内」と訳されます。
IVRは顧客からの電話に音声案内を再生してプッシュボタン操作を促すものです。
オペレーター対応が必要な問い合わせを予め最適な部署に取り次ぐ事が出来るのでスムーズな対応を実現します。
また、無人チケット販売の電話窓口として活用される事も多いです。
一方のチャットボットは予めシナリオを組み込んでおくことで、顧客からの問い合わせに対して自動返信で対応します。
よくある質問にはオペレーター対応を必要としないものも多いので、チャットボットを活用することでオペレーターの人手を必要な問い合わせに集中させられるのです。
自社に寄せられる問い合わせ内容によっては、こうしたITツールを導入することでより一層効果的にインバウンドコールセンターを活用出来るようになります。
おわりに
本稿ではインバウンドコールセンターの問い合わせ業務における効果や、運用について解説しました。
コールセンターのインバウンド業務は、顧客からの問い合わせ対応や受注処理、カスタマーサポートなどを指します。
専門性の高いテクニカルサポートも含まれ、多様な顧客ニーズに対応します。
一方、業務にはコール取りこぼしや教育コストの課題があり、応対品質の安定化も重要です。
効率化には自動音声応答やチャットボットの活用が効果的で、アウトソーシングによる外部委託もコスト削減と品質維持に有効です。
売上に貢献するコールセンターを作るならば、日本テレネットのBPOサービスの利用がおすすめ
インバウンドコールセンターは、顧客満足度の向上を目指すことで売上に貢献します。
そのためには、十分な教育を受け、高いスキルを身に着けたオペレータが必要です。
日本テレネットのBPOサービスは、専門知識とスキルを兼ね備えた優秀なオペレータがコールセンター業務を担当し、顧客満足度の向上につなげます。
コールセンターを新規に設置するならば、まずは日本テレネットのBPOサービスへ問い合わせることをおすすめします。
「コールセンター委託ポイント」についてはコールセンター委託ポイントを徹底解説!の記事もぜひご参照ください。
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