コールセンターは外注すべき?メリット・デメリットや費用について解説
2019.06.26コールセンター毎日多くの顧客や社内から問い合わせを受けていると、費用対効果の低下が懸念されます。
コア業務に集中したいのにできないような状況では、モチベーションの低下にもつながりかねません。
いちからコールセンターを構築すると多くの時間や費用を要してしまうため、外注する企業は多いものです。
本記事では、コールセンターを外注することによるメリット・デメリットや費用について解説します。
コールセンターの外注とは?
コールセンターの外注とは、顧客対応業務を専門の外部業者に委託することです。
これにより、自社の業務負担を軽減し、コア業務に集中することが可能になります。
電話やチャット、メールなど多岐にわたるチャネル対応が求められる現代においては、効率的な選択肢として注目されています。
コールセンターを外注している企業割合
すでにコールセンターを外注している・利用予定の企業は、全体の40%程度といわれています。
依頼内容についてはヘルプデスクやテレマーケティングなど多岐にわたっており、企業により異なります。
企業規模が大きくなるほどアウトソーシングの活用率が高くなる傾向にあり、特にヘルプデスクは外注の割合が高いようです。
自社は経営や収益増加に関する業務にリソースを割き、顧客対応を外注することで、業務効率の最大化を狙っているといえます。
コールセンターの外注が増加しているのはなぜか?
コールセンターとは、顧客からの問い合わせなどに対応する事業所や部門のことです。
企業にとって、コールセンターの業務は直接顧客と接触する貴重な機会を与えてくれる大切なものです。
そのため、従来は多くの企業がコールセンター業務を社内で行っていました。
では、なぜ今コールセンター業務の外部委託は増加しているのでしょうか。
増えるコールセンターのアウトソーシング
株式会社矢野経済研究所が2022年に発表した調査の結果では、2019年度におけるコールセンターサービスの市場規模は9,063億円でした。
これらの数値は前年度に比べて5.8%増加している状況です。
2020年度は10,421億円(前年度比104.6%)、2021年度は11,259億円(前年度比108.0%)でした。
この調査では、2022年度にはコールセンターサービスの市場規模は11,386億円(101.1%)となると予想されています。
日本の経済成長が低迷する中において、コールセンターのアウトソーシングは順調かつ堅調な成長を遂げていると言えるでしょう。
なお、この調査におけるコールセンターサービスの市場規模は、コールセンター業務におけるアウトソーシング事業者の売上高から算出されています。
深刻なオペレーター不足
コールセンター業務の外務委託が増えている理由は、コールセンター需要の高まりに対して自社設置を困難にするいくつかの問題点があるからです。
その1つが深刻なオペレーター不足です。
良いコールセンターを設けるには、優秀なオペレーターは欠かせません。
しかし、オペレーターは一般的に離職率が高く、定着率が芳しくない仕事のため、コールセンターは常に深刻なオペレーター不足の問題を抱えています。
オペレーターが辞めてしまう最大の理由は、仕事によるストレスです。
コールセンターはその性質上、どうしても顧客からの不平不満やクレームの窓口となってしまいます。
そのプレッシャーはオペレーターに大きなストレスを与えます。
また、新たに人員を補充しようと思っても、顧客のニーズに的確に対応できるレベルのオペレーターは一朝一夕では育ちません。
相応の時間・労力・費用が必要です。
コールセンターをアウトソーシングしてしまえば、人員不足に悩む必要はありません。
コールセンター側が経験豊かなスタッフを用意しているからです。
その結果、コールセンターを外部委託する企業が増えています。
適切なリソース配置の難しさ
コールセンター業務は適切なリソース配置が難しいことが問題となっていました。
コールセンターへの入電量はさまざまな要素で変化します。
それこそ天候の変化や時間帯によっても入電量は異なります。
どれだけ入電量が多くとも対応ができるように人員を確保しておくのが理想ですが、コストや人材確保の問題から考えると、それは現実的な対応とは言えません。
また、入電量の変動に応じてオペレーターを適切配置するのも簡単なことではありません。
コールセンター業務をアウトソーシングしてしまえば、リソース配置の難しさの問題から解放されます。
悩まずとも一定の応答率を維持したコールセンターの運営が可能です。
コストの削減
コールセンターの立上げや維持にはさまざまな費用がかかります。
コールセンターを設置する不動産・オペレーターの人件費・パソコン・電話・インターネット回線など、そのすべてを用意するとなると、大変なコストが必要になるでしょう。
しかし、アウトソーシングしてしまえば、コールセンター立上げの費用がかかりません。
外注できる業務
コールセンターでは、以下のような業務が外注可能です。
- インバウンド業務:顧客からの問い合わせ対応やクレーム処理
- アウトバウンド業務:マーケティングキャンペーンやアンケート調査、リード育成
これらは、効率的な運営や高品質な顧客対応を実現するために外注されることが多く、業務内容に応じて専門的な対応が求められます。
コールセンターを外部委託するメリット
こちらでは、コールセンターを外部委託することによって得られるメリットをご紹介します。
メリット①コスト削減
コールセンターを外部委託するメリットの1つ目は、「コストを削減できる」ということです。
たとえば、電話対応を担当している社員には、社会保険や交通費を含めた人件費がかかってきます。
また、コールセンターを社内に置くことで、採用広告費や面接でのコミュニケーションコスト、新入社員の研修に必要な研修教材やシステムのコストもかかってきます。
他にも、コールセンターを置くには事務所の設置、パソコンや電話の購入、電話・ネット回線などさまざまな設備投資が必要です。
コールセンターが設置された後も、家賃や電話代、インターネット代は継続して費用がかかるため、これらのコストを減らすことができるのは大きなメリットです。
メリット②業務量に合わせた対応ができる
メリットの2つ目は、「業務量に合わせた対応ができる」ことです。
一般的な企業では、繁忙期と閑散期があり、時期によって忙しさが大きく変化します。
自分の会社で社員を募集する場合、そうした忙しさに合わせて手配や採用をする必要があり、手間がかかります。
しかし、社員が自分の仕事以外に電話対応まで兼任するとなると、その負担は大きく仕事全体の生産性も下がります。
その点、外部委託なら、電話対応の忙しさに合わせて回線の多さを調整できるので、柔軟に対応してくれるでしょう。
メリット③コア業務に集中できる
メリット3つ目は、「コア業務に集中できる」ことです。
社員が本来の担当業務と電話対応の業務をどちらも任された場合、集中して自分の仕事に専念できません。
しかし、外部に委託することで、電話対応は外部に任せて自分が本来のコア業務に専念できるので生産性も上がり、結果的に組織がスリム化することにもつながります。
メリット④専門的な知識を持った人が対応して品質向上
メリット4つ目は、「専門的な知識を持った人が対応して品質が向上する」ことです。
外部のプロに委託すれば、社員の電話対応よりも確実に高いサービスを提供できるうえに、専門的知識を持ち、クレームにも即座に対応できるような新しい人材を雇う必要もありません。
メリット⑤短期間で業務開始できる
最後のメリットは、「短期間で業務開始できる」ことです。
コールセンター立ち上げには、多くの時間と手間がかかります。
しかし、外部委託をすれば、これらの作業も全て任せることができ、すぐに業務を開始することができます。
コールセンターを外部委託するデメリット
当然ながら、コールセンターの外部委託にはデメリットも存在しています。
主なデメリットは次の4つです。
ここでは、それぞれどのようなデメリットであるか説明した上で、対策について解説します。
デメリット①情報漏洩のリスクが増加する
コールセンター業務を外部委託するにあたっては、一定量の顧客情報の利用や社外への持ち出しを認めざるを得ません。
どれだけ信頼ができる委託先であっても、社外に情報を持ち出す限りは、情報漏洩のリスクが増加します。
しかし、情報漏洩の多くは人的な要素によるものです。
そのため、自社のスタッフであっても情報を漏洩させるリスクは必ず存在しています。
また、インターネットなどを通した不正な手段による情報漏洩のリスクについては、外部委託したからといって危険性が増加するわけではありません。
むしろ、コールセンターの外部委託先では専門的なセキュリティ対策が施されていることが多いため、ハッキングなどによる情報漏洩リスクは下がる場合があります。
このように考えると、情報漏洩のリスクは必ずしも重視しなければならないデメリットとは言えないでしょう。
情報漏洩のリスクへの対処では、機密情報の取り扱いについてどのような規定が設けられているか、外部委託を選定する際によくチェックすることが大切です。
加えて、自社の提供情報の取扱いに関して、詳細な取り決めを交わしておくようにしましょう。
具体的には、情報にアクセスできる人員・場所・時間帯の決定をした上で、取り決めが守られなかった場合の罰則について定めておきます。
また、コールセンター業務に関係ない情報にオペレーターが触れることがない仕組み作りも大切です。
業務に必要がない情報は提供しないようにしましょう。
どうしても情報提供が必要な場合には、担当部署に問い合わせができるようにシステム作りをしておきます。
このようにすることで、情報漏洩のリスクを最小限に抑えられます。
デメリット②自社にノウハウが蓄積されない
コールセンター業務を外部委託すると社外で顧客対応をするため、どうしても社内にノウハウが集まりにくくなります。
また、外部委託は社外の人間に一定の業務を任せることにほかなりません。
そのため、自社スタッフの経験値を高めることも難しくなります。
自社にノウハウが蓄積できない理由には、コールセンターでのノウハウの蓄積ができていない場合とコールセンターと自社との連携がうまくできていない場合が考えられます。
外部委託先で蓄積されたノウハウを社内へと伝えるには、委託先の選定に注意することが大切です。
マニュアル共有が可能なシステムを利用している業者やデータ蓄積と閲覧ができるチャットボットを利用している業者を選ぶと、ノウハウはたまりやすくなります。
しかし、これだけでは集まったノウハウを企業活動に活用することは難しいでしょう。
なぜなら、自社スタッフの経験がそのノウハウには含まれていないからです。
コールセンター業務を外部委託する場合には、外部委託先と定期的にノウハウや業務手順を共有する機会を設けるようにしましょう。
たとえば、ノウハウや業務手順をドキュメント化して共有したり、定期的に職場状況をチェックすると良いでしょう。
できることならば、自社スタッフをコールセンター業務に参加させるのもおすすめです。
このようにすることで、経験が伴ったノウハウが自社に集まるようになります。
デメリット③情報の共有がうまくいかない
外部に業務を委託する場合、綿密な連携や速度感のある対応は難しくなります。
特に特殊な問い合わせについては、自社とコールセンターの間で情報の共有や連携が大切です。
情報共有がうまくできていないと、入電に対してまったく対応ができずに顧客満足度を下げてしまう可能性があります。
コールセンターに集められる情報は、商品開発やサービス改善につながる大変貴重なものです。
情報の共有がうまくいかないとビジネスチャンスを逃してしまうかもしれません。
情報の共有がうまくいかない原因には情報共有のシステムの不備、あるいはコミュニケーション不足が考えられます。
情報共有のシステムは外部委託先によってさまざまです。
業者選定の際に十分にチェックしておくことが大切です。
また、自社の業務と類似する企業からコールセンター業務を受任した経験がある外部委託先を選ぶことで、情報共有がスムーズになることがあります。
より情報共有を進めたいのであれば、コールセンター業務だけでなく、他の業務プロセスまで外部委託すると良いでしょう。
自社内の各部門と外部委託先との結びつきが密になるため、情報共有がスムーズになります。
素晴らしい情報共有システムを用いていたとしても、コミュニケーションが不足していると情報共有はうまくいきません。
外部委託先とは日頃からこまめにコミュニケーションを取り合うようにしましょう。
忌憚なく自社に問い合わせをしてもらえる関係性が作れるようになれば、情報共有がスムーズになります。
デメリット④マニュアル化に手間がかかる
コールセンターの外部委託を依頼する際には商品やサービスの内容、企業理念といったものをマニュアル化しなければなりません。
しかし、マニュアルの作成は簡単なものではなく、時間も手間もかかってしまいます。
また、あまりに複雑なフローのマニュアルを作成してしまうと、コールセンター業務が滞る可能性もあります。
マニュアルの作成をする場合には、先にコールセンターで達成したい目的を明らかにしておきましょう。
目的によってマニュアルに記すべき内容が異なってくるからです。
また、マニュアルの作成は想像以上に作業工数が多いですので注意しましょう。
時間・費用・人員は余裕をもって見ておくことが大切です。
なお、最初から完全なマニュアルを作成しようとすると、余分な項目やフローが増えて使いにくいマニュアルとなりがちです。
マニュアルは1回で作り上げようとせず、何度も更新して完成に近づけましょう。
現場からの情報を拾い上げてマニュアルに反映しやすいようにするため、コールセンターとの連携を密にすることを心がけましょう。
マニュアルの作成が難しい場合には専門会社に依頼しても良いでしょう。
専門家の視点から整理された高品質のマニュアルが作成できます。
時間や人員が足りない場合には検討することをおすすめします。
コールセンター業務を内製で行う場合
コールセンターを自社で行う場合には、次の4つのメリットがあります。
社内で情報共有がしやすい
コールセンター業務を自社で行う場合、顧客からの問い合わせに対してスピーディに対応することが可能です。
クレーム内容や意見を適切な部署へと送ったり、情報を社内で共有したりすることも難しくありません。
また、商品やサービスの仕様変更などちょっとした情報を提供したいときに、コールセンターを通じて情報発信がしやすいというメリットもあります。
情報漏洩のリスクを減らせる
顧客からの問い合わせを受けたとき、コールセンターではさまざまな顧客情報を取り扱います。
たとえば、住所・名前・年齢・性別・購入したサービスや商品の内容などです。
それらはどれも外部には漏らしたくない情報と言えるでしょう。
近年では、外部からのアクセスや企業スパイなどによる情報漏洩が問題となっています。
コールセンターで扱う情報も当然ながら狙われる対象となりますので、気を付けなければなりません。
自社でコールセンターを設置すれば、情報が外部に持ち出されるリスクが低くなります。
あとはしっかりとしたセキュリティ対策を施せば、高いレベルで安全に情報を管理できるようになるでしょう。
VOCを集めやすい
VOC(Voice of Customer)とは、「顧客の声」のことを指します。
顧客から寄せられる意見・評価・要望あるいはアンケート結果などのことです。
自社でコールセンターを運営しておけば、VOCを余さず集めることができ、さらにそれを企業活動に運用しやすくなります。
VOCは顧客対応の向上、新たな商品やサービスの開発、社員のスキルアップなどに役立つでしょう。
ノウハウを集めやすい
どのような事業を運営する場合にもノウハウは大切です。
コールセンターを自社設置すれば、運営ノウハウが集めやすくなるでしょう。
ノウハウがたまれば、業務改善にも活かすことができます。
コールセンターの外注費について
コールセンターの外注費は、業務内容や対応件数、対応時間、品質基準に応じて大きく異なります。以下は一般的な費用の目安です。
- 固定型料金:毎月一定の費用が発生する形式。小規模な企業に向いている。
- 従量課金型:対応件数や通話時間に応じて費用が変動する形式。大規模なコールセンターに適しています。
たとえば、1件あたりの応答費用が100円〜500円、月額固定費用が10万円〜50万円程度となることがあります。
専任オペレーターや24時間対応などの追加オプションによって費用が変動する場合もあるため、外注先に確認しておきましょう。
外注費に違いがある理由は?
複数の外注業者に相見積もりを取ってみると、外注費に違いが生じていることがあります。
外注費が異なる理由としては、以下の要因が考えられます。
対応件数:受電・架電件数が多くなるほどコストが上がっていきます。
対応時間:24時間対応や夜間・休日対応が含まれる場合、追加費用が発生します。
専門性:技術サポートや多言語対応など、高度なスキルが求められる業務は費用が高くなる傾向があります。
業務範囲:対応件数や対応チャネルの数が多いほどコストが上がります。
このように、外注費は業務内容や求められる品質によって大きく異なるため、事前に詳細な見積もりをもらっておきましょう。
コールセンターの外注先を選ぶ前に準備が必要
コールセンターの外注先を選ぶ前に、下記の準備をしておくことで依頼先を選びやすくなります。
課題や目的を明確にする
まずは、どのような課題を解決したいのか、外注の目的を明確にすることが重要です。
たとえば、業務効率化やコスト削減、顧客満足度の向上など、具体的なゴールを設定することが求められます。
業務範囲・フローの整理
外注する業務の範囲やフローを明確に整理することも重要です。
具体的な業務内容や対応プロセスを明確にしておくことで、外注先に正確な指示ができ、トラブルの防止につながります。
予算を決める
予算が不明確な場合、予期せぬコスト増加や計画の見直しが必要になる可能性があります。
そのため、無理のない範囲で外注費用に対する予算も事前に設定しておくことが重要です。
コールセンターの外注先を選ぶ際のポイント
コールセンターの外注先を選ぶ際は、下記のポイントを押さえておきましょう。
セキュリティ対策はできているか
顧客情報や個人データを取り扱うコールセンターにおいて、情報セキュリティは非常に重要です。
個人情報保護法やGDPRに準拠したデータ管理体制が整っているかを確認することが大切です。
実績があるか
同業界での対応経験や具体的な成果も、外注先を選ぶ際に確認しておくべきポイントです。
実績のある外注先は、業務内容を迅速に理解し、質の高いサービスを提供する傾向があります。
柔軟な調整ができるか
業務範囲やフローが変更されることも多いため、柔軟に対応できるかも重要なポイントです。
たとえば、システムの連携や緊急対応が必要な場合に、迅速に対応できる体制が整っているかを確認しましょう。
これらのポイントを考慮することで、長期的に信頼できる外注先を選ぶことが可能です。
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コールセンターを自社で設置するには、オペレーターの確保や費用の準備など多くの問題を乗りこえなければなりません。
また、業務開始後も適切なリソース配置に悩む可能性があります。もちろん外部委託にもデメリットはありますが、そのほとんどは対策が可能です。
むしろ自社設置よりも多くのメリットが得られるでしょう。
もし、コールセンターの外部委託を検討しているのであれば、高い顧客満足度を実現している日本テレネットのBPOサービスがおすすめです。気軽に問い合わせてみましょう。
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