コールセンター立ち上げのステップや構築費用・機能について徹底解説
2021.05.21|⟳ 2025.06.18|コールセンターどんな事業を行うにあたっても目標設定は大切であり、もちろんコールセンターの立ち上げに関しても同様です。
しかし、コールセンターの立ち上げ経験が無いと運用がうまく行かなくなってしまう可能性があります。
そこで、本記事ではコールセンター立ち上げの流れや検討すべきポイントについて解説します。
コールセンター立ち上げに必要なステップ
まずコールセンターの立ち上げはどのような流れで進んでいくのでしょうか。
基本的な立ち上げの流れを確認しておきましょう。
コールセンターの方針とゴールの設定
コールセンターの方針が決まっていないと、運用がうまくいきません。
そのため「どのような目的でコールセンターを立ち上げるのか」「コールセンターを立ち上げることでどんな課題が解決されるのか」など、コールセンターの運営方針や運営のゴール地点について考えましょう。
コールセンターの立ち上げの目的によっては、自社で用意するのではなくアウトソーシングしたほうが効率が良いという場合もあります。
例えば、メディアに取り上げられたことをきっかけに急激に問い合わせが殺到してしまった場合、ブームが落ち着いたタイミングで問い合わせが急激に減る可能性があります。
この場合はコールセンターをアウトソーシングした方が良いでしょう。
また、既存ユーザーからの技術的な問い合わせに対応できるコールセンターが欲しいという場合は、安定した需要が想定できることから、目的によってコールセンターを立ち上げるべきか、それとも外注すべきか変わってくるので、本当に必要かよく考えてから立ち上げに移しましょう。
現状の運用プロセス等調査
コールセンターの立ち上げ目的が固まったら、現状の業務プロセスの調査を行います。
この段階では、運用プロセス・組織体制・マネジメント・クトレーニング・システム体制の5つの項目に分けて、現段階でどのように業務を行っているのか、コールセンター業務にどれくらいの時間を割いているのかなどを調べましょう。
業務プロセス・組織体制等コールセンター設計
調査を一通り終えて現状抱えている問題を洗い出せたら、設計業務に入ります。
設計業務はまず業務プロセスから着手していくのが一般的です。
調査した内容をもとに、オペレーターにどんな業務を任せるのか、緊急やイレギュラー時にはどのように対応するのかなど細かく業務を設計していきます。
業務に関する設計が終わったら、次は組織のマネジメントや組織体制に関する設計フェーズに入ります。
具体的には業務プロセス設計で決めた業務内容をもとに、オペレーターや管理職は何人必要か、どのように人材を育成していくかなどの計画を立てていきましょう。
コールセンター構築
組織体制や業務プロセスの設計が固まったら、実際にコールセンターの構築に入ります。
コールセンター業務に必要な電話やパソコン、場合によってはCRM(顧客管理システム)などを必要に応じて準備しましょう。
しかし、この段階でただ導入するだけでテストを行わないと、実際にコールセンターを運用する場面で業務に必要なものや機能が足りない可能性が出てきます。
したがって、必ず運用開始前にテストを行い、業務に足りないものはないか、システムに欠陥はないかなど確認しましょう。
各種必要なマニュアルを作成
コールセンターの立ち上げ時には、下記のように複数のマニュアルを整備する必要があります。
- オペレーター向けの対応マニュアル
- トークスクリプト
- FAQ集
- システム操作手順書 など
これらの資料は、新人教育を円滑に進めるだけでなく、ベテランスタッフによる対応のばらつきを防ぐ役割も果たします。
マニュアルは一度作成すれば終わりではなく、定期的に更新していくことが重要です。
顧客ニーズや業務フローの変化に応じて柔軟に修正を重ねることで、現場での対応力とサービス品質の維持につながります。
必要な人材の採用と育成
立ち上げ初期には、応対スキルだけでなく、コミュニケーション力やストレス耐性を備えた人材を確保することが求められます。
採用にあたっては、職種に適した評価項目と選考基準を明確に設定する必要があります。
採用後は、段階的な研修プログラムの導入が不可欠です。
業務マニュアルやOJTに加え、ロールプレイングを通じて実践力を高めることが、長期的な定着とサービス品質向上に寄与します。
コールセンターの目標(KGI)
コールセンターの立ち上げにおいては、KGIを明確にすることが大切です。
KGIとはKey Goal Indecatorの頭文字を取った言葉で、定量化された目標のことを言います。
数字ではっきりと目標を示すことで、スタッフが高いモチベーションを維持して業務に取り組めるようになるでしょう。
ここでは、コールセンターの立ち上げ時のKGI設定のポイントについて解説します。
コールセンター全体の目標設定
KGIを決める前に、まずはコールセンター全体の目標設定を行います。
具体的には、コールセンター運用においてコストの削減を目標とするのか、それとも丁寧な対応を意識して顧客満足度の向上を目指すのかなど様々です。
この目標の方向性によって当然KGIの内容も変わってきます。
また、この段階での目標が明確なものでないと、後々に顧客満足度が低下したり、コストを意識してコールセンターを運用していたはずなのに思いのほか割高になってしまったりというリスクを伴うので、時間をかけてコールセンター全体の目標を設定しましょう。
KGIを設定
先ほど解説したように、KGIとは明確に数値によって定量化された目標のことを言います。
どれくらいの数字をクリアすれば目標達成となるのかをはっきり決めておかないと、スタッフも管理職もモチベーションを維持しにくいです。
そこで、平均通話時間や電話がかかってきてから出るまでの時間、1時間あたりの対応件数などのKGIを決め、スタッフ全員で共有しましょう。
コールセンターの立ち上げ・構築にかかる費用
コールセンターの構築には、人件費や設備費用、システム導入費など多岐にわたるコストが必要です。
こちらでは、コールセンターの立ち上げ・構築にかかる費用を、内製と外注に分けてご紹介します。
内製化の場合
内製で立ち上げる場合、以下のような初期費用が必要になります。
- 拠点の確保・内装工事費(レイアウト設計、什器の購入など)
- 通信機器・業務用PCなどハードウェアの調達費用
- PBXやCTIなどコールセンター向けシステムの導入費用
- 応対マニュアル、教育プログラムの開発コスト
- 採用広告・面接などの人材確保コストなど
これらをすべて自社で用意する場合、規模によっては数百万円〜数千万円規模の投資が必要となります。
また、立ち上げ後の運用においても、システム保守や人件費が継続して発生します。
外注(アウトソーシング)の場合
アウトソーシングを選択した場合、初期投資は抑えられる一方で、月額の運用費が中心となります。
- 主な費用内訳としては以下の通りです。
- 初期設定・立ち上げ支援費用(設計・構築・テストなど)
- 月額の対応件数や対応時間に応じた従量課金型の料金
- 業務改善・分析レポートなどオプション機能の費用
外注の場合、月額費用は業務範囲や規模により異なりますが、概ね数十万円~でスタート可能です。
また、業務フローや品質管理体制の整備を含め、専門事業者のノウハウを活用できる点も大きなメリットといえるでしょう。
コールセンターに必要な機能
コールセンターの運用には、以下のような基本機能が求められます。
- CTI(Computer Telephony Integration):顧客情報の表示や通話履歴の管理
- IVR(自動音声応答):適切な窓口への振り分け機能
- ACD(着信呼自動分配):オペレーターへの適切な通話割り当て
- 通話録音機能:応対の品質管理やトラブル防止
- CRM(顧客管理システム):顧客データの蓄積と活用
- レポート機能:対応件数や応答率などの統計データ分析
それぞれの機能がスムーズに連携することで、対応の品質と効率が大きく向上します。
これらの機能を一元的に管理できるシステム環境が、現代のコールセンターには不可欠です。
現状把握と問題点の洗い出しのポイント
現状把握と問題点の洗い出しでは、運用のプロセス・マネジメント・組織体制・オペレーターの育成・フォロー体制の5つの項目に関して調査を行います。
それでは具体的にどのような点を調査すべきなのか確認しましょう。
運用のプロセス
運用のプロセスの把握に関しては、オペレーターに対し電話対応で使用しているツールや現状どのような流れで電話対応をしているのかなどについてヒアリングを行います。
運用のプロセスに関するヒアリング内容はコールセンターの業務フローの策定や構築に大きな影響を及ぼすので、特にこの部分の調査には力を入れましょう。
マネジメント
マネジメントにおいては、スーパーバイザー1人に対してオペレーターを何人配置しているかなどを確認します。
また、同程度の規模のコールセンターを持っている他社の情報も集めておくと良いでしょう。
組織体制
現段階でどれくらいの規模でコールセンターが運用されているのか確認します。
この際、規模は現状のままで良いか、拡大・縮小すべきかも検討しておきましょう。
オペレーターの育成
オペレーターは会社の顔であり、ユーザーに失礼のないよう丁寧な対応をしつつも、売上につながるような教育が必要です。
そこで、現状でオペレーターに対してはどのような教育システムを採用しているかを確認します。
また、万が一外部研修に参加している場合はこちらに関してもチェックを忘れずに行いましょう。
フォロー体制
フォロー体制が悪いとオペレーターの離職に繋がります。
そこで、職場の定着率がどれくらいか、離職しやすい人・定着している人にはどんな特徴があるかなどについて確認を行います。
コールセンター立ち上げの注意点
コールセンターの立ち上げにはいくつか注意点があります。
注意点を理解せずに運用を開始してしまうと利益に繋がらなかったり、運用がままならなくなってしまったりするリスクが伴います。
そうならないようにも、立ち上げ時の注意点を確認しましょう。
人材の確保、教育が難しい
オペレータの対応が悪いと、ユーザーが企業に対して悪い印象を抱いてしまうでしょう。
しかし、少子高齢化によってコールセンターに限らず多くの企業が人手の確保に苦戦しています。
そんな中で優秀なオペレーターを確保し、定着してもらうための工夫が必要です。
また、コールセンターの立ち上げ経験がないと、立ち上げ時のオペレーターの教育マニュアルの作成にも苦戦してしまう可能性が考えられます。
導入費用、運営費用など、投資リスクが大きい
そもそもコールセンターの立ち上げ・運用には、オフィスの賃料・業務に必要な機材などの費用・光熱費など莫大な費用がかかります。
そのため、立ち上げ前の段階で適切な目標設定を行わなければいけません。
万が一、コールセンターの立ち上げに失敗してしまうと莫大な損失を出してしまいます。
品質の維持が難しい
より質の良いサービスを提供するために24時間365日対応にしておくにはコストがかかります。
また、繁忙期と閑散期があるため、コールセンターの品質維持はとても難しいです。
コールセンターはユーザーの満足度に直結するサービスの一つであり、コールセンターを運用するにあたっては品質維持の難しさを理解し、一時的に人員を増やすなどイレギュラーを想定した運用が必要でしょう。
コールセンターを自社で立ち上げるメリット・デメリット
コールセンターを自社で構築・運営する場合、企業の裁量が広がる一方で、さまざまな負担も伴います。
こちらでは、コールセンターを自社で立ち上げるメリットとデメリットをご紹介します。
メリット
コールセンターを自社で立ち上げると、以下のようなメリットを得られます。
自社方針に基づいた柔軟な運営ができる
企業文化やブランド戦略に沿った対応方針を直接反映できるため、高い柔軟性を確保可能です。
顧客対応のトーンやスタイルを統一しやすく、企業イメージを損なうリスクを低減できます。
機密情報の管理がしやすい
社内での情報管理が前提となるため、顧客データや問い合わせ内容などの機密性が高まります。
情報漏洩リスクを最小限に抑える体制を構築しやすくなる点は、メリットといえるでしょう。
フィードバックを即時に反映できる
現場で得られる顧客の声をスピーディーに経営や商品改善に活かせます。
対応内容と施策の連動性が高まり、改善サイクルの高速化を実現できます。
デメリット
一方、コールセンターを自社で立ち上げると、下記のようなデメリットが生じます。
立ち上げ・運営にかかるコストが大きい
システム導入費やオペレーター採用・教育費、施設整備費など、初期投資が高額です。
さらに運営維持にも継続的な人件費や設備費がかかります。
人材の採用・育成が難しい
応対スキルを持つ人材を継続的に確保し、教育し続ける必要があります。
離職率の高さも課題となり、安定的な運営には人的リソースの確保が不可欠です。
対応品質の管理負担が大きい
品質を維持するためのモニタリングやフィードバック体制の構築が必要です。
対応件数の増減や季節変動にも柔軟に対応できる管理能力が求められます。
これらを踏まえ、自社での立ち上げは経営的・戦略的な意義があります。
一方、導入・運営の負担が大きいため、長期的視点での投資対効果を慎重に見極めなければならない点は注意が必要です。
おわりに
本記事では、コールセンター立ち上げについて解説しました。
コールセンターは、下記の流れで立ち上げます。
- コールセンターの方針とゴールの設定
- 現状の運用プロセス等調査
- 業務プロセス・組織体制等コールセンター設計
- コールセンター構築
- 各種必要なマニュアルを作成
- 必要な人材の採用と育成
立ち上げ方法としては内製化とアウトソーシングがあり、それぞれにメリット・デメリットがあります。
どちらが良いかは一概にはいえませんが、内製化の場合は高額な費用と安定した運営に多くの時間を要します。
そのため、低コストで早急に立ち上げたいときは、アウトソーシングがおすすめです。
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コールセンターが必要になったときは、ぜひご相談ください。
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