コールセンターとは?業務内容や設置するメリット・デメリットを解説
2023.09.09|⟳ 2025.08.04|コールセンターお客様からのご連絡には、クレームや商品の使い方などが含まれます。
それらに対して適切に対応することで、企業の信頼が向上し、ファンの獲得につながる可能性があるため、真摯な対応が必要です。
しかし、営業や事務職員といった社員は多くの業務を抱えているため、対応が難しいことがあります。
そのため、お客様からの問い合わせが多い企業のなかには、コールセンターの設置を検討している方もいらっしゃるものです。
本記事では、コールセンターとはどのようなものなのか、自社に設置した際のメリットなどについて解説します。
コールセンターとは
コールセンターは電話を用いてお客様の対応を行う窓口を指すもので、日本コールセンター協会では、顧客や消費者のインバウンドやアウトバウンドの電話応対を行う拠点・窓口のことと定義しています。
定義内におけるインバウンドとはお客様から企業へのアプローチを指し、アウトバウンドは企業から顧客へのアプローチを指します。
コールセンターの目的は「売り上げの拡大」と「顧客満足度の向上」です。
お客様の声を生で聞くことができるコールセンターでは、自社商品の問い合わせやクレーム対応など、さまざまなものが含まれます。
これらの電話に対して誠実に対応することで、商品購入などの収益につなげたり、問題を解決して満足度を上げたりすることが可能です。
そのため、コールセンターは企業の収益と密接に関連しているサービスだと言えます。
コンタクトセンターとコールセンターの違い
コールセンターは、主に電話を用いて顧客と企業をつなぐ業務を担当します。
一方、コンタクトセンターは電話に加え、Eメール、チャット、SNSなど複数のチャネルを用いて顧客対応を行います。
そのため、コンタクトセンターはオムニチャネル化への対応力やデジタル統合の必要性が高い点が特徴です。
業務範囲が広がる分、運用体制の複雑化やシステム構築の高度化も求められます。
コールセンター設置形態
コールセンターには、下記のように「拠点型」や「在宅型」、「拠点常駐型」、「ハイブリッド型」の4種類があります。
拠点型
拠点型とは、そこでお客様対応を行う専用の拠点を構えて業務を行うタイプのコールセンターです。
ひとつの拠点にコールセンターとして必要な機能が集約しているため、コールセンターのスタッフ同士の情報共有がスムーズに行えます。
一方、災害や通信障害などが発生した場合、コールセンター全体の機能が停止する可能性がある点には注意が必要です。
在宅型
在宅型とは、スタッフが自宅でお客様の対応を行うコールセンターのタイプです。
育児中の方や、足が不自由などといった通勤が困難な方でもお客様対応ができる点がメリットで、企業も雇用しやすい傾向にあります。
一方、コールセンターのスタッフ同士が近くにいないため、コミュニケーションがとりにくい点には注意が必要です。
拠点常駐型
拠点常駐型は、専用の施設にオペレーターを常駐させ、業務を集中管理する運用形態です。
セキュリティや情報共有の面で優れており、品質管理もしやすい反面、設置コストや人材の確保が課題となります。
安定した運用を目指す企業にとっては、最も一般的かつ信頼性の高い形態といえます。
ハイブリッド型
ハイブリッド型とは、拠点型と在宅型の両方の特徴を持つコールセンターのタイプです。
問い合わせやクレームなどの電話対応は自宅で行い、専門的な回答が必要な場合は拠点スタッフに引き継ぐといった対応ができます。
コールセンターの業務内容
こちらでは、コールセンターでできることを「インバウンド」と「アウトバウンド」の2つに分けてご紹介します。
インバウンドコールセンター
コールセンターにおけるインバウンドとは、お客様からいただいた電話の受け答えを行う業務です。
お客様からの連絡内容には、下記のようなものが挙げられます。
- 商品やサービスに関するお問い合わせ
- 商品のお申し込みや解約の受付
- 不良品や故障などのサポート対応のご依頼
- クレーム対応
インバウンドにはカスタマーサポートやテクニカルサポートなどが含まれており、スタッフにそれぞれの役割が分担されます。
コールセンターのスタッフはお客様と直接対応するため、対応ひとつで企業の収益や信頼に影響する重要な業務です。
そのため、インバウンドに携わるスタッフは自社商品やサービスの深い理解と、適切なコミュニケーション能力が求められます。
アウトバウンドコールセンター
コールセンターにおけるアウトバウンドとは、企業からお客様に対して架電を行う、いわゆる営業電話になります。
下記、アウトバウンドで連絡する内容の一例です。
- お客様へのセールスの電話
- 新商品やサービスのお知らせ
- 自社や商品、サービスに関するアンケート
見込顧客に対して架電を行う営業形態であるインサイドセールスも電話で行われることが多いものです。
また、新規開拓の一環として行うテレアポもアウトバウンドに含まれます。
アウトバウンドは急にお客様へ連絡をするため、挨拶から始めるなど丁寧な対応が重要です。
このようにアウトバウンドは企業とお客様がつながる、入り口としてのポジションだと言えるでしょう。
コールセンターを設置する企業のメリット・効果
こちらでは、自社にコールセンターを設置することで得られるメリットをご紹介します。
企業の顔・入り口になる
先述の通り、コールセンターは企業とお客様が最初に接触する入り口部分に該当します。
従来の企業では顧客対応は営業や事務員などが担当していましたが、コミュニケーションツールの発達やマニュアルの整備などにより、コールセンターがお客様対応を行うようになってきています。
お客様によってはその企業に対するイメージや印象が変化するため、コールセンターは重要な業務です。
そのため、近年では多くの企業がコールセンターの重要性を見直すようになっています。
顧客満足度が向上する
コールセンターは企業とお客様をつなぐ入口であると同時に、企業の顔とも言えるポジションです。
お客様が電話対応の際に感じる不満のなかには、「電話の待ち時間が長い」というものがあります。
営業員や事務員が電話対応を行う際、ほかの業務も行っているため、なかなか電話に出ることができないこともあるでしょう。
長時間電話に出なかった場合、お客様は不信感を覚えて、解約やクレームにつながる可能性が高まってしまいます。
そのような場合でも、コールセンターを利用することで待ち時間を短縮し、丁寧な対応の実現が可能です。
また、熟練したスキルを持つスタッフが電話対応することで、営業員や事務員よりも簡潔な対応ができるようになります。
機会損失を減らせる
電話対応に不満を抱いたお客様によっては、商品を購入しなくなったり解約になったりといった、機会損失につながることがあります。
こういった機会損失を防がなければならないとはいえ、営業員や事務員では対応ができない状況や時間があることも事実です。
そのような場合、コールセンターを設置することで機会損失の可能性を下げられるのは大きなメリットだと言えるでしょう。
コールセンターを設置するデメリット
先述の通り、コールセンターを設置することで、企業はさまざまなメリットを得ることができます。
一方、コールセンターを設置すると、下記のようなデメリットが生じる点の理解も必要です。
費用とリソースがかかる
コールセンターの設置にはスペースの確保や通話・録音・管理システムの導入、ネットワーク環境といった初期投資が必要です。
さらに、日常運用においてもオペレーターの人件費、管理者の配置、設備維持のコストが継続的に発生します。
また、電話・メール・FAX・Webなど複数チャネルを扱う場合、チャネルごとに最適化されたシステム整備が求められます。
オペレーターの教育が必要
コールセンター業務では、対応品質の高さが顧客満足度に直結します。
そのため、オペレーターへの研修やマニュアル整備、ロールプレイングによる実地訓練などが欠かせません。
また、サービス内容や商品知識の変化に応じて継続的な教育が必要となり、教育工数とコストが常に発生します。
オペレーターには一定のコミュニケーションスキルと忍耐力を求められるため、採用時の人材確保における基準設定や定着支援にも工夫が必要です。
人手不足になりやすい
コールセンターは離職率が高い業務形態であることから、慢性的な人手不足に陥りやすいという構造的な課題を抱えています。
とくに繁忙期には対応の遅延や応答率の低下といった問題が顕在化し、顧客満足度を下げる要因となります。
近年では多言語対応や複数チャネル化の需要増加により、従来よりもスキルの高い人材が必要とされています。
安定した人材供給が難しい場合、外部委託も選択肢として検討されることがあります。
コールセンターを設置する流れ
先述したメリット・デメリットを理解したうえで、コールセンターの設置を決定した際は、何をすれば良いのでしょうか。
コールセンターを設置する際は、下記の流れで進行します。
1. 目的とゴールを設定
コールセンターを設置する際、まずは明確な目的を定めましょう。
顧客対応の強化、業務効率化、販売促進、ブランドイメージの向上など、達成すべき成果を具体的に設定することが重要です。
また、KPI(応答率、一次解決率、CSスコアなど)の指標を明確にすることで、後の運用評価にもつながります。
2. 課題の明確化
現状の問い合わせ対応が属人的である、対応スピードが遅い、クレームが増えているなど、現状のボトルネックを明確化します。
この工程を通じて、コールセンター設置によって解決すべき課題が明確になります。
業務フローの可視化やVOC(Voice of Customer)の活用も効果的です。
3. プランニングする
目的と課題が整理されたら、実際の設計・計画段階に進みます。
対応チャネルや必要なオペレーター数、応対範囲、運用時間、マネジメント体制などを具体的に定めます。
さらに、スクリプトやFAQの作成、教育スケジュールの設計もこの段階で検討されます。
4. システムを構築・導入する
最後に、業務内容に適したシステムを選定し、導入・構築を進めます。
PBX、IVR、CRM、通話録音システム、応対管理ツールなどが一般的に必要とされます。
導入後はテスト運用を経て、必要に応じて調整を行いながら本稼働へと移行します。
コールセンター設置の注意点
社内にコールセンターを設置する際には、下記のポイントに注意しましょう。
設置する際はリソースを確認
コールセンター設置には、専用スペースや通信インフラ、人材、予算など、多方面にわたる社内リソースが必要です。
とくに中長期的な運用を前提とする場合は、継続的な人材確保と設備維持の体制を整備することが求められます。
無理な体制での導入は、運用開始後のトラブルや品質低下につながる恐れがあります。
顧客対応業務の負荷を確認
電話・メール・チャットなど、複数チャネルに対応することで、オペレーターへの負荷が増加します。
業務が複雑化すると対応品質が不安定になりやすいため、FAQの整備やナレッジ共有の仕組みを構築することが不可欠です。
また、顧客の属性や要望を正確に把握する仕組みとして、CRMの導入も検討すべき要素です。
設置目的を確認
設置目的が不明確なまま運用を開始すると、成果の測定や改善が難しくなります。
その結果、コストと業務負荷ばかりが増大し、導入効果を実感しづらくなる可能性が高くなるものです。
目的を明確にし、KPIや対応範囲を社内で共有することが成功への第一歩です。
時間とコストがかかる
コールセンターを設置する際、電話機器や回線といった、さまざまな設備を用意する必要があります。
また、設備を設置したあとはコールセンターのスタッフを雇用する必要があるため、採用コストも必要です。
このように、社内にコールセンターを設置する際には多くの時間とコストが発生するため、必要に応じてアウトソーシングすることも重要です。
ランニングコストが必要
コールセンターの設置後は、スタッフに支払う給与やオフィスの賃貸料、光熱費といったランニングコストが必要です。
また、コールセンターのスタッフが適切にお客様の対応ができるように、教育コストが発生することもあります。
そのため、収益状況などを確認しながら採用人数や必要機器の数などを検討しましょう。
また、時間やコストの注意点と同じではありますが、コールセンターをアウトソーシングすることで社内運用に比べてコストを削減することも可能です。
おわりに
本記事では、コールセンターとはどのようなものなのかについて解説しました。
コールセンターは電話で顧客対応を行う拠点で、問い合わせやクレーム対応を通じて企業の信頼向上や売上拡大に貢献します。
設置形態は拠点型、在宅型、ハイブリッド型があり、それぞれにメリット・デメリットを含めた特徴があります。
主な業務はインバウンドとアウトバウンドであり、設置することで顧客満足度向上や機会損失の防止が期待できます。
一方、初期費用や人材教育、運用コストがかかり、人手不足も課題であるほか、設置時は目的明確化やリソース確保が重要です。
コールセンターは、短期ではなく長期的な視点での運用を考えて設置を検討しましょう。


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