コールセンターは目標設定が大切!KPIの例と併せて解説
コールセンターは、企業とお客様をつなぐ入口として、日々多くのお客様の対応を行うポジションです。
しかし、なかにはお客様対応さえしていれば良いと考えるスタッフが在籍していることがあります。
高い質の電話対応をするためには目標を定める必要がありますが、具体的にどのような目標を立てれば良いのでしょうか。
本記事では、コールセンターにおける目標設定について、KPIの例とあわせて解説します。
目標設定の重要性
目標設定は、下記の理由によってコールセンターだけではなく全社で設定する必要があります。
目的達成のためにやるべきことが明確になる
目標を設定することにより、その目標を達成するためにやるべきことが明確になります。
やるべきアクションが分からない方や、何から始めれば良いかが分からないといった方は目標を達成できないことが多いものです。
そのため、目標を与えられたらまずは何をするべきなのかを、優先順位を付けて決めることが重要なポイントだと言えます。
PDCAサイクルを高速で回せる
PDCAサイクルとは、Plan・Do・Check・Actionの4段階に分けて目標設定から行動の評価までの流れを指します。
下記、PDCAサイクルの詳細です。
- Plan:目標を設定し、アクションプランを立案します。
- Do:Planで立案したアクションプランを実行するフェーズです。
- Check:Doで行ったアクション内容の検証を行います。
- Action:Checkで発見した改善点を踏まえて、今後の対策などを検討するフェーズです。
PDCAサイクルを行うことで立案から行動、評価、改善のスピードが向上するため、多くの企業で採用されています。
コールセンターにおけるKGIとは
KGIはKey Goal Indicatorの略で、直訳すると「経営目標達成指標」になります。
企業の経営戦略やビジネス戦略のゴールを指すKGIには、収益が当てはめられることが多いです。
コールセンターにおいても収益を当てはめられることが多いですが、多くの企業では下記のKGIを設定します。
- 顧客満足度の前年比(〇〇%アップ)
- 商品のリピート率の前年比(〇〇%アップ)
- アップセル・クロスセル率の前年比(〇〇%アップ)
- 運営コスト(〇〇%ダウン)
コールセンターはお客様対応がメイン業務となるため、収益などの目標をKGIに設定しにくい傾向にあります。
そのため、コールセンターを設置している企業のなかにはKGIがあいまいになってしまっているところも多いです。
顧客満足度や運営コストなどをKGIをとして設定することで、スタッフはKGIを達成するためのアクションを行います。
その結果、コールスタッフ全体の業務の質を高めることが可能です。
コールセンターにおけるKPIとは
KPIは「Key Performance Indicators」の略で、「重要業績評価指標」と訳されます。
最終目標であるKGIを達成するための中間目標としての役割を持つKPIには、下記のような目標を設定する企業が多いです。
- 応答率〇〇%以上
- 着信から応答までの平均時間〇〇秒以内
- 指定時間内の対応件数〇〇件以上
KPIはKGIを達成するための主要なアクションを指すもので、すべて達成できればKGIも達成できるようになっています。
また、KPIを達成するためのアクションを考えることも重要です。
たとえば、1件あたりの対応時間が長い場合は、トークスクリプトを用意するといったことがアクションになります。
また、応答率が悪い場合はその原因を洗い出し、スタッフの増員や業務の削減といった対策が考えられるでしょう。
コールセンター全体では統一目標としてKGIを掲げ、個人にはKPIを設定することで、収益を上げることが可能です。
コールセンターのKPIについては、後述する「コールセンターのKPI例」の項目で詳しくご説明します。
コールセンターで目標を設定するポイント
コールセンターで目標を設定する際は、「実現可能な目標を設定する」「目標を明確にする」の2つのポイントを押さえましょう。
実現可能な目標を設定する
たとえば、1時間に100件のコール対応をするという目標を掲げても、実現はほぼ不可能と言えるでしょう。
また、1時間に1件という目標の場合、簡単すぎてモチベーションの低下が懸念されます。
そのため、目標を設定する際は「努力が必要だが実現はできる」ような、適度な難易度の目標を設定することが重要です。
目標を明確にする
コールセンターの業務は接客対応であるため、なかなか収益換算が難しいものです。
定量目標として先述した応答率や平均対応時間を設定することで、コールセンターのスタッフも改善努力がしやすくなります。
目標を設定する際は「〇月までに〇〇を達成する」のように期限を設けておかなければ、先送りになってしまう可能性は高いものです。
目標を明確にしたあとは、いつまでに達成するのかも決めるようにしましょう。
コールセンターのKPI例
こちらでは、コールセンターが設定するKPIの例を、計算方法とあわせてご紹介します。
指標名 |
説明 |
算出方法 |
ACW(After Call Work) |
1コールあたりに要する処理時間を指します。 |
合計後処理時間÷総応答件数 |
AHT(Average Handling Time) |
平均処理時間を指します。 |
(総通話時間+総後処理時間+総保留時間)÷総応答件数 |
ATT(Average Talk Time) |
平均通話時間です。 こちらの数値が低いほど時間内に多くの電話をしていると言えるため、高い評価を獲得することができます。 |
総コール数÷総通話時間 |
CPC(Cost Per Call) |
1件の電話に費やしたコストを測る指標で、こちらの値が低いほど費用対効果が高いと言えます。 |
コールセンター運営費÷総コール数 |
CPH(Call Per Hour) |
対応件数を稼働時間で除した数値で、スタッフの作業効率を図ります。 CPHの値が高いほど効率良く対応しているスタッフであると言えます。 |
対応件数÷稼働時間 |
稼働率 |
稼働時間内の対応時間を指すものです。 こちらの数値が高いスタッフは、作業時間内に多くの作業をしていると言えます。 |
(会話時間+後処理時間+その他時間)÷作業時間 |
ASA(Average Speed of Answer) |
お客様からの着信を出るまでにかかった時間を指します。 お客様によっては待ち時間に不満を感じる方もいるため、顧客満足度を向上させるためにASAを重視する企業も多いです。 |
お客様の待ち時間÷つながった件数 |
SL(Service Level) |
一定時間内にスタッフが対応した件数の割合を指すものです。 スタッフのパフォーマンスデータとして参照されることが多く、評価の対象になることが多い傾向にあります。 |
規定時間内につながった件数÷着信件数 |
応答率 |
着信件数に対してスタッフが対応した数の割合を指すものです。 こちらの割合が高いスタッフほど、多くのお客様対応を行っていると言えます。 |
(対応件数÷着信数)×100 |
放棄率 |
着信に出なかった割合を指すもので、応答率と対になっています。 |
着信に出なかった件数÷着信数 or 100-応答率 |
CES(Customer Effort Score) |
お客様が問題を解決するまでに要した労力を評価する指標です。 こちらの指標は計算で算出することはできず、段階評価で決められます。 CESが高いほど多くの労力を要しているため、改善が必要です。 |
– |
企業によってどの指標をKPIにするかは異なりますが、いずれの指標も業務効率を改善し、顧客満足度を高めることが目的です。
KPIを達成した結果、大目標であるKGIの達成に貢献できることから、KPIを達成するためのアクションが求められます。
おわりに
本記事では、コールセンターにおける目標設定について、KPIの例とあわせて解説しました。
コールセンターのKPIには1コールあたりに要する処理時間を指すACWや、平均処理時間を指すAHTなどが含まれます。
いずれの指標も企業の大目標であるKGIを達成するために必要な項目で、そのためにはKPIの達成が必要です。
定められた目標を達成するために、具体的なアクションも考えましょう。