【用語集】Vol.15 コールセンター・太陽光発電用語集
太陽光発電を取り入れる際には、様々な専門用語について理解を深めておくとよいでしょう。
そこで今回は、太陽光発電に関する用語集として、頻出する専門用語を中心に解説します。
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太陽光発電システム用語集とは
太陽光発電システムに関する専門用語は、システム機器の名称や太陽光発電を活用したサービスなど、様々なものがあります。以下の用語集では、太陽光発電システムでよく使われる専門用語について見ていきましょう。
太陽光発電システム
太陽光発電システムは、読んで字の如く「太陽光のエネルギーを利用して発電を行うシステム」を指します。光エネルギーを直接電気エネルギーに変換することが可能な太陽電池を使うのが一般的です。太陽光エネルギーを使用しているため、温室効果ガスを発生させない、発電に際して石油等の資源を消費しないといったメリットがあります。また、昼間の電力需要ピークを緩和できるという点も利点の一つと言えるでしょう。一方で、夜間は発電できないこと、昼間でも天候や季節、地形などの状況次第では発電がしにくくなるという点がデメリットとして挙げられます。 特に大規模な太陽光発電システムは「メガソーラー」と呼ばれ、専用の敷地に太陽電池のパネルを大量に配置することで莫大な発電量を実現しています。一方で、家庭用の太陽光発電システムは屋根の上などに太陽電池モジュールを設置することで、敷地を一切使わずに発電を行うことが可能です。
PV
PVとは、英語で太陽光発電を意味する「Photovoltaics」という単語を略したものです。そのため、太陽光発電やエネルギー関連の文脈で「PV」という言葉が出てきた場合は、十中八九太陽光発電の事を指すと考えてよいでしょう。ちなみに、元々は「photovoltaic」という形容詞の語尾を「-ics」として名詞化した言葉です。「photovoltaic」という英単語は、太陽光発電で使用される太陽電池の動作原理である「光電効果の」という意味を持っています。
太陽電池モジュール
太陽電池モジュールは、太陽光発電システムにおいて実際に発電を行う部分を指す言葉です。半導体や絶縁体が太陽光を受けた際に、物質の内部の伝導電子が増加する効果を利用して電気エネルギーを生み出す「内部光電効果」の仕組みを利用しています。そのため、太陽電池には専ら半導体であるシリコンが用いられることが多いです。シリコン以外には、銅やアルミニウム、硫黄などの化合物を使用したカルコパイライト系太陽電池や、テルル化カドミウム薄膜を用いたCdTe系太陽電池などがあります。有機化合物を使用した太陽電池モジュールも研究が進んでおり、いまなお進化を続けている発電手段と言えるでしょう。
蓄電池
太陽電池は、「電池」という名前がついていますが、太陽電池モジュール自体には通常の電池のように電力を蓄える機能がありません。そのため、夜間や災害時に備えて余剰電力を蓄えておく際に活躍するのが蓄電池です。余剰電力の使い道は蓄電池に蓄える以外に、他の家庭や施設で使ってもらうために電力会社に買い取ってもらうという方法も存在します。しかし、2022年度以降は固定価格買取制度で定められた電力買取価格の値下げが行われているため、余剰電力の売電から自家消費に切り替える家庭も少なくありません。
セル(cell)
太陽光発電で使用される太陽電池で、光を受け止める素子単体を「セル」と呼びます。もともとは「細胞」の意味を持つ英単語で、素子ひとつひとつを生物の身体における細胞に例えた名称と言えるでしょう。太陽電池は、このセルを複数枚接続して使用することが一般的です。メガソーラーともなれば、使用されるセルは莫大な数となります。「ソーラーセル」や「太陽電池セル」といった呼び方をすることもあるため、覚えておきましょう。
モジュール(module)
モジュールは、複数のセルを並べて直列・並列に接続し、樹脂や強化ガラス、アルミニウムなどで作られたカバーで保護されたパッケージのことです。製品として流通している太陽電池の最小単位でもあり、モジュール単体で規定の出力を最低限満たす必要があります。純度の高いシリコン結晶を利用して高い出力を実現している単結晶モジュールと、単結晶モジュールの製造過程で発生した断片を再利用することでコストパフォーマンスに優れている多結晶モジュールの2種類が存在し、予算や用途に合わせて選ぶことが可能です。
ストリング(string)
モジュールを複数枚並べて直列に接続したものが「ストリング」です。ストリング(string)という英単語は元々「弦」や「紐」といった意味を持ちますが、ここから転じて「数珠つなぎにしたもの」「列」「ひと続き」といった意味で用いられる英単語でもあります。複数の太陽電池モジュールが導線によって数珠つなぎになっているイメージです。
アレイ(array)
複数の太陽電池ストリングを並列に接続し、まとまった電力を供給できるようにしたものを「アレイ」と呼びます。元は「配列」や「整列」といった意味を持つ英単語です。太陽光発電を行っている住宅の、屋根の上に置かれている太陽電池全体が「アレイ」という単位となります。基本的に後述する架台と呼ばれる台座に固定されて設置され、家庭での使用に十分な量の電力を発電し供給します。メガソーラーなどの太陽光発電所では、このアレイが大量に設置されており、結果として莫大な量の電力を生み出すことが可能です。 太陽電池の最大の構成単位であり、「セル」→「モジュール」→「ストリング」→「アレイ」の順に大きくなります。また、全てのモジュールが並列に接続されている場合も「アレイ」と呼ぶため注意しましょう。「ストリング」と「アレイ」は、「太陽電池モジュールの並列接続を行っているかどうか」で異なります。
パワーコンディショナ
太陽電池で生み出されるのは直流電力ですが、家庭で使用されるのは交流電力です。そのため、太陽光発電システムで家庭用電力を賄う場合は、直流電力から交流電力への変換を行わなければなりません。この電力の変換を行うのが「パワーコンディショナ」と呼ばれる装置です。「パワコン」という略称で呼ばれることもあります。また、蓄電池への充電や系統への売電、家庭内利用などの目的に合わせた安定出力に整えることもパワーコンディショナの役目です。ちなみに、パワーコンディショナという語は和製英語であり、英語圏では「PV inverter(PVインバーター)」と呼ばれています。海外でパワーコンディショナと言っても通じないため注意が必要です。
架台
太陽電池モジュールを並べて固定し、アレイを形成するために必要となる土台です。日光を効率よく受け止めるために、地上に設置するものは傾斜がつけられていることがほとんどです。地上設置や屋根置きを行う際に使用する固定方式架台、「フロート」と呼ばれる水上設置架台、太陽の向きに合わせて架台自体が動く追尾式架台など、様々な種類が存在します。
接続箱
接続箱は、ストリングごとに接続された太陽電池モジュールの配線を並列にまとめているボックスのことです。接続箱で一本の配線にまとめられた直流電力は、そのままパワーコンディショナに流れて交流電力に変換されます。また、太陽電池の保守点検の際に使用する開閉器や、雷によるサージ電流を分散させる避雷素子、夜間に蓄電池などから太陽電池モジュールに電流が逆流する事を防止する逆流防止ダイオードなども接続箱に搭載されています。太陽光発電システムを安全に利用する上ではなくてはならない存在と言えるでしょう。
分電盤
電力を建物の中の様々な電力負荷に分配する装置を「分電盤」といいます。太陽光発電システムにおいては、パワーコンディショナで変換された交流電力が、この分電盤を通って建物のあちこちにあるコンセントへと届けられます。また、パワーコンディショナの出力系統と電力会社からの配電線の連系ポイントでもあり、太陽光発電の余剰電力を売電している家庭では重要度がより高い装置と言えるでしょう。 「盤」の名前がついている通り、かつては木板に取り付けられていましたが、現在ではプラスチック製、あるいは金属製の筐体の中に収納されているケースが多いです。住宅用の分電盤には、アンペアブレーカーや漏電ブレーカーが取り付けられているものもあり、定格以上の電流が流れたり漏電が発生したりした場合には即座にブレーカーが落ちて電力を止めることで安全を確保します。
キュービクル(受変電設備)
大規模な施設で太陽光発電を行う場合、太陽電池アレイから供給される電気の電圧は非常に高いものとなります。高圧電流をそのまま使用することは、電気機器の故障などのリスクがあるため、電圧を落とさなければなりません。この高圧電流の変圧を行うための機器が収納されたボックス型の設備を、「キュービクル」と呼びます。立方体という意味の英語である「キューブ(cube)」から派生した言葉であり、仕切りで小さく区切ったスペースというニュアンスの言葉です。 電力会社との電気供給契約が50kW以上の施設ではキュービクルの設置が義務付けられており、病院や商業施設、オフィスビルなどには必ずキュービクルが設置されています。主に駐車場や屋上など、施設利用の邪魔にならない場所に設置されていることが多いです。遮断器や負荷開閉器、保護装置などが分厚く丈夫な筐体の中に収納されているため、感電や停電などの事故は起こりにくくなっています。
売電用積算電力量計(売電メーター)
太陽光発電で発生した余剰電力を売電する場合、どれだけの電力量を系統内に流したかを記録する必要があります。実際に売電を行った電力量を記録するための装置が「売電用積算電力量計」です。売電メーターと呼ばれることもあります。検針の際に、この売電メーターを参照することでどれだけの電力を売電に回したかが確認されます。正確な売電額を算出するためには欠かせない装置です。
買電用積算電力量計(買電メーター)
売電メーターとは逆に、他の家庭が売電した電力をどれだけ購入したかを測定する「買電メーター」も存在します。正式名称は「買電用積算電力量計」です。買電を行った場合、検針時にこの買電メーターを参照することで、電力の購入金額を算出し請求額を確定させます。売電メーター同様に、電力の売買を行う上では欠かせない装置と言えるでしょう。
オール電化
オール電化とは、調理や空調、電気、給湯など、生活に必要な熱源の全てを電気で賄うことを指す言葉です。オール電化が行われている住宅のことは「オール電化住宅」と呼びます。キッチンではガスコンロの代わりにIHクッキングヒーターが使われている他、ガスの燃焼でお湯を沸かすのではなく電気給湯器に水を貯めて温める方法で給湯が行われているなど、ガスや石油が一切使われないことが最大の特徴です。 住宅内に熱源を持たないため、ガス爆発などのリスクがなく非常に安全である上に、光熱費を全て電気代に一本化することが可能であるというメリットが存在します。お湯や暖房を安く使用できるため、特に北海道などの寒冷地ではオール電化を採用している住宅が多いです。また、災害などで水道の供給がストップした場合でも、電気給湯器に貯められた水によってしばらくは水が使用可能であるという点も見逃せません。一方で、停電した際に熱源の大半が使えなくなり生活に支障を来たすリスクが発生する、昼間の電気代が高額になるなどのデメリットも存在します。電気給湯器や蓄熱暖房器などの設置コストが高額になってしまう点もデメリットと言えるでしょう。
連系(系統連系)
太陽光発電システムの余剰電力を売電する場合、単に発電設備を据え付けただけでは売電ができません。基本的に電力会社からの電力系統は一方通行となっており、家庭から電力を送り出す仕組みがないからです。そのため、電力会社の電力系統に発電設備を接続し、電力を送り出せるようにする必要があります。これを「系統連系」、または単に「連系」と呼びます。 系統連系を行う場合は、発電した電力の品質を電力会社から供給される電力と同等のものにする必要があります。そのため、パワーコンディショナや接続箱、分電盤などの装置は必要不可欠です。経済産業省資源エネルギー庁では「電力品質確保に係わる系統連系技術要件ガイドライン」を策定しています。このガイドラインに従い、電圧や周波数を電力会社の定める既定値に収めることが、系統連系、ひいては売電を行う際の最低条件なのです。