コールセンター業務を効率化の進め方などポイントを解説
コールセンターの業務を効率化したいと思っても具体的な方策が見つからずに困っている企業も多いのではないでしょうか。そこでここでは効率化が必要な理由とその手順、便利なツールなどについて解説します。
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コールセンター業務の効率が悪い理由
顧客からの問い合わせに直接答えるコールセンターは、会社の顔ともいえる大事な部署です。速く正確なレスポンスは顧客満足度の向上にも大きく寄与します。しかし現実には、効率の悪さで問題を抱えているコールセンターも多いのではないでしょうか。ここではなぜそうしたことが起きてしまうのか、3つの要素に分けて解説します。
業務分担がうまくいかない
コールセンターといえば、かつては電話での応対がほとんどでした。しかしネットが普及した現在、電話だけでなくメールやWebフォーム、SNSやチャットなど様々なチャネルからの問い合わせが可能になっています。ユーザーからすれば便利なことですが、問い合わせを受けるコールセンターの側からすればこのすべてに対応しなくてはならず、業務範囲が格段に大きくなっています。問い合わせ方法が多岐に渡ればトータルの問い合わせ量も増えることになり、それらを効率よくさばいていくためには業務分担が重要です。
多岐にわたるのは問い合わせ方法だけではなく、その内容も同じことです。自分の部署の担当外の問い合わせが来たときには、担当部署へ回すといった手間があります。このように問い合わせ方法と内容、二つの点でコールセンターの業務は以前にも増して膨れ上がっており、業務分担をうまく行うのが難しくなっているのです。
対応品質が不安定になる
コールセンターのオペレーターには知識と経験が必要です。そのため、ベテランと新人とでは対応品質に差が出てきてしまいます。ベテランならば即座に的確な回答ができるところ、まだ慣れていない新人では答えがすぐにわからずまごついてしまうこともあるのです。問い合わせをするユーザーはこのような事情は考慮しませんので、新人に当たってしまうと「この会社のコールセンターは対応品質が悪い」という印象を持たれかねません。
そのため、マニュアルを用意するなどして均質な対応を行えるようにする努力が不可欠となります。しかし増員や欠員補充などで新たに人を採用した場合、その育成には時間がかかるため、常に高品質な対応を行うのは難しいのが現状です。
人件費・通信費が増加する
問い合わせが増えたためコールセンターが混みあってなかなかつながらない、というのはユーザーにとって大きなストレスです。それを改善するためには対応する人員や回線数を増やすことが必要です。しかし人員や回線数を増やせば、それだけ人件費や通信費も増加します。特に電話での対応の場合、込み入った問い合わせでは1件当たりにかかる時間も長引き、通信費がかかる上オペレーターの疲労度やストレスも増します。顧客満足度を上げるためとはいえ、コストが膨らんだりスタッフに負担をかけすぎてしまうのは得策とはいえないでしょう。
一人で複数人に同時に対応できるチャットや、ユーザーが自ら解決できるチャットボットの導入もある程度功を奏しますが、やはり限界があります。
コールセンター業務を効率化する方法
問題点が理解できたところで、次にその問題を解決し、コールセンター業務を効率化するにはどうしたらよいのか、その具体的な方法を見ていきましょう。
ワークフォースマネジメント(WFM)の実施
ワークフォースマネジメント(WFM)は、日本語でいえば「人員配置の最適化」ということになります。サービス品質向上のためにとにかく人手を増やす、というのはコストの面からも現実的ではありません。限られた人員を適切に配置することで、コストを抑えつつ品質を維持することを目指すのがこのWFMの考え方です。
コールセンターへの問い合わせは、曜日や時間によって件数に違いがあります。そのため最も多い時に合わせて人員を配置してしまうと、少ない時には人手が余り無駄になってしまいます。そこで大切になってくるのがシフトをうまく組む、ということです。過去のデータから曜日や時間ごとの問い合わせ数を予測し、オペレーターのスキルも考慮してシフトを組めば、効率よくコールセンターを運営することができるでしょう。
ナレッジ・マネジメントの実施
ベテランと新人ではオペレーターとしてのサービス品質に差があると解説しましたが、その理由は経験値の違いによる知識の差です。オペレーターは日々多くの問い合わせに対応する中で、様々な知識やノウハウを蓄えています。そうした個人個人が持つ知識・ノウハウを集積し、皆で共有できるようにするのがナレッジ・マネジメントです。
経験や知識というのは個人にとっては財産であり、他の人に対するアドバンテージであるともいえます。そのため、自分の優位性を保つために公開したくないという人もいるかもしれません。しかしナレッジ・マネジメントを行うことで、一人の経験では持ちえない知識を誰もが利用できるようになります。その結果、全体としての業務の効率化につながるわけです。
KPIの管理
KPI(Key Performance Indicator・重要業績評価指標)とは、目標に対して現在どこまで進んでいるかを数値で表したものです。コールセンターの業務におけるKPIにはCPHやAHTの他にATTやACWといったものがあります。CPH(Call Per Hour)はコール対応件数、すなわち1人のオペレーターが1時間に何件対応したかを表します。AHT(Average Handling Time)は平均処理時間、すなわち1件の問題を解決するまでにかかった時間の平均です。ATT(Average Talk Time)は平均通話時間で、1通話にかかった時間の平均を表します。ACW(After Call Work)は平均後処理時間で、対応後に回答内容をまとめ記録に残すためにかかる時間の平均です。AHTはATTとACWの合計になります。
AHTが短ければその分多数の問い合わせを受けられますが、だからといって対応が雑になってはいけません。まずはACWの短縮、そして蓄積したノウハウを元にマニュアルを作成することで対応時間の短縮につなげたいものです。
業務の自動化
定型業務はできる限り自動化することで業務の効率化が図れます。先ほど「まずはACWを短縮」と説明しましたが、オペレーターの仕事は問い合わせ対応だけではありません。それに付随した事務作業も存在します。対応結果を入力しデータとして残す作業などは、パソコンスキルによってかかる時間が異なりますが、Excelのマクロを利用して日付入力など自動化できる部分は自動化すれば大幅に短縮できるでしょう。定型業務の自動化にはRPA(Robotic Process Automation)の導入も効果的です。こうした事務作業の省力化により、オペレーターは顧客対応に集中できるようになります。
コールセンター業務を効率化できるツール活用
コールセンター業務の効率化には、便利なツールの活用も効力を発揮します。ここでは4つのツールを紹介するので、ぜひ自社に合ったものを選ぶ参考にしてください。
チャットボットツールの活用
多くのWebサイトにはFAQ(よくある質問と回答)が掲載されており、ユーザーは問い合わせ前にこれを見ることによって必要な答えを得られる場合もあります。しかし、ユーザーにとってFAQから答えを探すのは少々面倒な作業です。これをより簡単にしたのがチャットボットツールといえるでしょう。チャットボットツールでは、チャット形式で質問をすると、それに対する回答が得られるようになっています。FAQレベルで答えが導き出せるような簡単な質問であれば、これでも十分問題解決の役目を果たせます。
チャットボットは自動で応答処理を行うので、人手を必要としません。また、24時間対応なのでユーザーにもストレスがありません。さらにチャットボットを利用してもらうことでコールセンターへの入電数を減らすこともできます。コールセンター業務の効率化には有用なツールであるといえるでしょう。
コールセンターシステムの活用
コールセンターには日々幅広い内容の問い合わせ電話が多数かかってきます。それらをうまく振り分けることは、業務を効率化するうえで欠かせません。それに役立つのがコールセンターシステムです。
コールセンターシステムは、コンピュータと電話を統合する「CTI機能」と、企業内の電話回線をコントロールする「PBX機能」からなります。これにより、自動着信分配と自動音声応答という2つの機能を実現しています。自動着信分配機能は、稼働状況をチェックして各オペレーターに着信を分配するものです。自動音声応答機能は、自動音声によるガイダンスを行い、ユーザーには質問内容に応じた番号ボタンを押してもらうことで、それに適したオペレーターに電話をつなぐというものです。
ビジュアルIVRの導入
IVR(Interactive Voice Response)は、自動音声によるガイダンスを行うシステムです。先に紹介したコールセンターシステムの「自動音声応答機能」を独立させたものと考えても良いでしょう。このシステムでは、ユーザーはガイダンスを聞きながらボタンを操作しなくてはならないので、聞くための時間がかかってしまいます。その機能をビジュアル化し、スマホ画面で見ながら操作できるようにしたものが「ビジュアルIVR」です。
従来のIVR同様コールセンター業務の効率化につながるのはもちろんですが、ユーザーにとっても待ち時間が少なく、また画面上で回線の込み具合を確認できたりメニューからFAQに飛べるなど利便性も高いため、顧客満足度の向上につながるのが大きな利点といえます。
CRMシステム、AIの導入
顧客データを管理しマネジメントに活かすCRM(Customer Relationship Management)システムを導入することで、便利な機能が実現できます。代表的な機能は、電話がかかってきたときにその番号から顧客情報を検索して画面に表示する「ポップアップ機能」や、通話が終わった後にそのログや録音データをCRMに連携することで問い合わせ履歴を一括管理できる「通話履歴連携機能」などです。特に通話履歴連携機能は、次に問い合わせがあったときに前回の記録を見ることができるので、ユーザーに同じ説明を再度させることがなく好印象を与えられます。 コールセンター業務にはAIが役立つものもいくつかあります。例えばチャットボットにAIを導入すれば、24時間高品質なサービスが提供できるだけでなく、音声認識で顧客の声のトーンを解析して満足度を測るといったことも可能です。また、FAQ検索機能と組み合わせれば、オペレーターの経験値によらず品質の一定した対応が可能になります。
コールセンター業務を効率化する際のポイント
ここまでコールセンター業務効率化の方法や役立つツールについて解説してきました。しかし、単にそうしたものを導入すれば簡単に効率化できるというものではありません。ここでは、コールセンター業務効率化を図る際に大切なポイントについて解説します。
業務効率化のゴールを定め共有する
ただ漠然と「業務効率化」を唱えても、何をどうすればいいのかわかりませんし、社員のモチベーションも上がらないでしょう。まずは何のために行うのか、どのような方針で行うのかといったことを明確にし、社内もしくはチーム内で共有することが大切です。目的が明確であれば、自分たちが享受するメリットが理解できるので社員のモチベーションにつながります。また、方針をきちんと定めることで作業の優先順位が決まり、何を削って何を取り入れるかといったこともおのずと定まってくるでしょう。
現場の声を聞く
コールセンターの業務で何が大変なのか、何に時間を取られているのか等、効率化に当たって課題となることを一番よく知っているのは現場のオペレーターです。従って、オペレーターの声を聞くことは効率化を実施するうえで欠かせません。前向きな改善提案を求めるのももちろん良いのですが、日頃仕事に対して抱いている不平不満を聞き出すのも実は有用です。その不満を解決するには、という視点で聞くことで、新たな気付きを得られることも多いからです。
ECRS(改善の4原則)を活用する
「ECRS(改善の4原則)」と呼ばれる業務改善のフレームワークがあります。ECRS(イクルス)とは「Eliminate(排除)」「Combine(統合と分離)」「Rearrange(再構成・入れ替えと代替)」そして「Simplify(簡素化)」の4つの頭文字を並べたものです。コールセンターの場合、まずは自動化できるものは自動化するなどして必要のない業務を「排除」し、類似した業務を「統合」、ルーティン化した業務を「分離」してアウトソーシングするといった形で整理します。そのうえで業務フローの見直しやオペレーターの配置換えといった「再構成」を行い、最後に通話からチャットシステムに置き換えるといった「簡素化」を行います。
PDCAサイクルを回す
業務効率化は1回行えば終了というわけではありません。新たな体制で仕事を進めていくうちにまた問題が生じれば、再度改善に取り組む必要があります。すなわち「PDCAサイクル」を回していく必要がある、ということです。PDCAサイクルは、「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(評価)」そして「Action(改善)」の4つからなります。例えば「ACWの短縮」という計画を立てた場合、実際に計画を立てて実行し、その結果を評価・検証して具体的な改善課題を打ち出す、という手順です。これを継続していくことで、サービスの品質向上を図りつつさらなる効率化を目指していくことが可能になります。
効率化は継続していくことが大事・高いノウハウを持った専門業者への委託も選択肢に
コールセンターの効率的な運営には常にブラッシュアップが必要です。今回はそのために有用な情報をお伝えしましたが、自社で行っていくのが難しい場合、ハイレベルなノウハウを持った専門業者に任せるというのも一つの方法です。BPOサービスを多数手がける日本テレネットではコールセンター運営の実績も多く、コールセンター運営に関する様々な悩みを解決しています。興味のある方はぜひ問い合わせをしてみてはいかがでしょうか。
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